オクラの栄養効果

オクラの季節となってきました。オクラと言えば、「ねばねば」です。歯ごたえがあり、

このねばねばが胃腸にも優しいので、好きな方も多いことでしょう。

実は、このねばねば、多彩な健康効果を持っています。以前、このねばねばは「ムチン」と呼ばれて

いました。しかし、正確には、ムチンは動物の粘液のことを指し、植物のねばねばとはまた違う構造

と機能性を持つため、現在では明確に区別されています。

オクラのような、ねばねばは、正確には、「ムシレージ」や「ムシラージ」と呼ばれます。

※ムコ多糖とは、動物組織や体液に広く分布するアミノ糖を含む複合多糖のことです。

私たちの消化管の粘膜も基本的に、粘液でおおわれているため、食材のねばねばと相性が良いです。

事実、アジア圏では、オクラは胃の炎症を治療する薬膳として、伝統的な民間療法で利用されて

きました。

また、「糖尿病を予防する効果」もあります。糖尿病ラットを使ったオクラの研究(2011年)では、

オクラには、糖尿病の症状を軽減する効果や、高脂血症を抑制する効果などが認められています。

日本の研究(1989年、共立薬科大学)では、オクラのこのねばねばに血糖値抑制効果があると報告

しています。2015年の中国の研究では、妊娠糖尿病を患ったラットに、オクラ抽出成分を投与した

ところ、その症状が軽減されたことを発表しています。

(Asian Pac J Trop Med. 2015 Dec;8(12):1038-1042)

他の研究でも、オクラのねばねばは、高くなった血中コレステロールを下げたり、余分な胆汁酸に

結合して排泄することにより、大腸ガンを予防しているとも報告されています。

2004年のスイスの研究では、オクラのねばねばには、ピロリ菌が胃の粘膜に付着するのを阻害する

ということを報告しています。(J Agric Food Chem. 2004 Mar 24;52(6):1495-503)

このように薬効性の高いオクラですが、オクラの「鞘(さや)」の部分と、中の「種」の部分を

比較した研究があります(2015年)。結果はとても興味深いものとなりました。

オクラの皮は総ポリフェノール1.25%、総多糖類43.1%であるのに対し、オクラの種は

総ポリフェノール29.5%、総多糖類14.8%含まれていることが分かりました。

オクラの抗酸化は、種の部分にも、とても活性が強いことが判明しました。

疲労を抑制する効果も、種の部分のほうが強かったのです。この研究では、オクラの種による

「抗疲労効果」は、血中の乳酸濃度を低下させることによるものでした。

また、オクラの種には、有害な酸化二次生成物のマロンジアルデヒド(MDA)を下げ、そして、

抗酸化酵素であるSOD酵素やグルタチオンペルオキシダーゼのそれぞれのレベルを上げることが

分かりました。こうして、以前から言われていた、オクラの疲労回復効果は、オクラの種子によるもの

が大きく、特にポリフェノールとフラボノイドが有効成分であるということが証明されたのです。

(Nutrients. 2015 Oct; 7(10): 8846-8858)

さらに、一部の研究では、オクラには抗がん作用があるのではないかと発表されています。

2014年のブラジルの研究で、オクラに含まれるレクチンには、ヒト乳がん細胞に対して抗腫瘍効果を

促進するということが報告されています。(ただし試験管での結果です)

2010年のフランスの研究でも、転移性メラノーマ(皮膚がん)の試験管研究では、オクラ抽出物が

ガン細胞死を引き起こすということを発見しています。こうして、オクラの薬効性はとても奥深く、

今後もさらに研究されていくことだと思います。

【オクラの効果】

  • 疲労抑制効果
  • 糖尿病予防効果
  • 神経保護作用
  • 高脂血症の抑制

など。

オクラという名前は、これ日本語みたいですが、実は英語もオクラと呼ばれています。

私は、オクラをさっと茹でて、醤油とショウガであえたものに、ちぎった海苔をかけて食べるのが

好きです。

また、梅干しの果肉であえてもおいしいようです。

生のまま、めんつゆに浸して、食べるのもおいしいようです。

今からが旬のオクラを食べてくださいね!

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