「腸活」、「胃腸ケア」、「腸内環境を改善」、、、こうしてさまざまな健康ワードがありますが、
たいてい、「腸」に焦点が当てられます。
それも、そのはず、誰もが、胃腸が悪いと、すぐに「自覚症状」があるという、現代人の
最もよくある症状の一つだからです。
では、「ある部分」が悪いのに、自覚症状がないため、見逃されていたら???
「肝臓」は「沈黙の臓器」といわれるぐらい、たとえ悪くても、初期の自覚症状がほとんど無い
ものなのです。それは、肝臓にはあまり神経が通っていないからです。
だから、肝臓に多少のダメージがあっても、不快感や痛みなどの自覚症状が現れにくいんです。
一方、腸は脳と同じくらいの神経ネットワークがあります。こうした違いにより、自覚症状が
あらわれやすい腸ばかりに人は健康を求めようとしています。
しかし、健康診断でいちばん引っかかる人が多い項目は、「肝臓」です。
というより、そもそも健康診断の血液データの多くが肝臓の指標なのです。
だから、それらの数値が理想値でないとなると、肝臓が弱っている可能性があるわけですね。
肝臓はその70%を切り取っても再生してしまうという、驚異の再生力があります。
だからこそ、肝臓の病気になってしまうのは気づきにくいんです。
ある調査では、35歳を超えた男性の30%以上に、肝機能障害が見つかり、そのほとんどが「脂肪肝」
です。一般に、なぜか、「肝臓の数値が引っかかるときはお酒が原因だ」と思っている人が多く、
「お酒をそんなに飲まないから、肝臓の数値が上がることはない」という、勘違いの解釈が広まって
います。
実は、お酒以外が原因の、肝臓の障害は多くあります。まず、多い肝臓の障害はやはり脂肪肝です。
※ここではウイルス性の肝炎は省きますm(_ _)m
脂肪肝は、なにも肥満型の人に多いわけでなく、ここ日本では、痩せ型の人に多い疾患の一つです。
だから、どなたでも気を付けなければいけません。
ここで肝臓の基本的な話をしましょう。
肝臓の場所はご存じですか?肝臓は、右の肋骨の内側あたりにあります。
肝臓は、胸とおなかの境界線である横隔膜のすぐ下、胃の隣にあります。右上腹部のほとんどを
占めています。ぜひ触ってみてください。よく揉むことも大事です。
肝臓は内臓の中でもっとも大きく、からだの中で最大の臓器です。重さは1,000~1,600gもあり、
脳よりも重い臓器なのです。なぜなら、肝臓には3000億個もの肝細胞があります!
すごい量です。この肝細胞の中で働く酵素はなんと2000種以上です。
実に、体内酵素の多くが肝臓由来なのです。では、こんなにたくさんの細胞や酵素をもつ肝臓は
いったいなにをしているのでしょう?
肝臓は、ずばり人体の「化学工場」といわれています。だから、こんなに大量の細胞と酵素があるん
です。常時500種類以上の機能を同時にこなしています。すごいですよね。。こんな臓器はさすがに
肝臓ぐらいです。つまり、肝臓が元気であることは、非常に重要なのです。
ここで、肝臓の役割として3つおさえておいてください。
①代謝
②解毒
③胆汁
まず①の代謝。
食べ物は、腸で消化・吸収され、細かく分解された栄養素を、カラダではそのままの形で利用する
ことは基本的にできません。それらは腸で吸収された後、いったん肝臓に運ばれ、肝臓で必要な物質
に作り替えられます。これを「代謝」といいます。(=栄養素の代謝)
腸は食べたものを分解するのに対し、肝臓はその分解した栄養素をカラダが利用しやすい形に変化
させる、と覚えおいてください。
続いて②の解毒。
みなさんが食事や生活をしていると、体内にとってどうしても不必要な成分や有害物質が入って
きます。また、体内で使われた活性物質(ホルモンや酵素など)の廃棄処理も溜まります。
肝臓は、これらの有害物質を「無害な物質に変化させる」働きがあります。
これを「解毒」といいます。
たとえばお酒のアルコール、アルコールは肝臓にあるアルコール脱水素酵素(ADH)により、
いったんアセトアルデヒドに分解され、その後、アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)により、
酢酸、水、二酸化炭素に分解され、そのまま体外に排出されます。
飲み過ぎた翌日に二日酔いが起きてしまうのは、肝臓の解毒作用が追い付かず、アセトアルデヒドが
大量に残っているからです。
だから、肝臓の処理能力は限られていますので、飲み過ぎには気を付けましょう^^
また、動物性たんぱく質などを食べると、このタンパク質(アミノ)を分解する際に発生する、
有毒物質の「アンモニア」も肝臓で無毒の「尿素」に変えられて尿へ排出されます。
最後に③の胆汁です。
肝細胞では1日に約600~1000mlぐらいの胆汁が作られています。
胆汁とは、脂溶性のもの(油にとけるもの)を消化吸収するのに必要な消化液です。
胆汁は、こうして油の成分を乳化して、消化吸収しやすくするものですが、それだけでなく、
不要なものを排出する(便として出す)働きや、ばい菌を殺菌する作用もあります。
いよいよ、本題ですが、まず肝臓を良好にしたいのであれば、食事が大事です。
運動、睡眠、生活リズムなどももちろん重要ですが、やはり肝臓のサポートに大きくかかわっている
のは、食事なのです。
中でも、食材選びは、肝臓をケアする上で重要となってきます。
肝臓によい食材10個、選んでみました。
【1】フルーツ
「フルーツは果糖が多いから、脂肪肝になりやすい」という誤解がよく見受けられますが、実際には
逆で、日本人の2019年の疫学調査では、フルーツをよく食べる人ほど、脂肪肝になりづらい、
という結果になっています。
これはなにも日本人だけでなく、世界の研究を見てもすぐにわかります。たとえば、アルコールを
飲む前や飲んだ後に、フルーツを食べてください。フルーツはアルコールの代謝促進作用があります。
これは研究で判明しています。
特におすすめは、柑橘類、ベリー類、リンゴ、柿です。これらを食べると、
血中のアセトアルデヒド濃度がかなり低くなります。
【2】ビタミンB群
ビタミンB群は、肝臓における解毒の代謝に多く使われます。
特に、B2、ナイアシン、B6、B12です。「B2」を多く含む食材は、青のり、レバー、ハツ(心臓)、
アーモンド、干し椎茸、うなぎ、カモ肉、納豆、まいたけ、カマンベール、いくら、卵、いわし、
さば、大豆、ホタテ、タン、昆布、ブリ、かつおぶし、しじみ、抹茶、モロヘイヤ
などです。
「ナイアシン」を多く含む食材は、たらこ、かつお、イワシ、レバー、鶏ささみ、鶏むね肉、サバ、
サンマ、ツナ缶、サワラ、ブリ、牛肉、豚肉、カモ肉、マイタケ、鮭、海苔、わかめ、青さ、
ピーナッツ、ゴマ、松の実などです。
「B6」を多く含む食材は、にんにく、ピスタチオ、ごま、レバー、鶏ひき肉、鶏ささみ、鮭、海苔、
アマランサス、サンマ、アジ、サバ、牛肉、大豆、するめ、バナナ、アボカドなどです。
「B12」を多く含む食材は、しじみ、赤貝、あさり、牛レバー、鶏レバー、煮干し、さんま、いわし、
いくら、すじこ、たらこなどです。
【3】シジミ
シジミは肝機能を助ける食品です。飲酒の後や、疲労があるとき、温かいシジミ汁を飲むと、
実際に体調が良くなることが多いです。これはシジミに含まれる「オルニチン」の効果です。
オルニチンを多く含む食品では、シジミが代表的です。その他の食材では、ひらめ、まぐろ、チーズ、
えのきなどが比較的多く含んでいると言われています。
シジミには、オルニチン以外に、タンパク質、アラニン、ビタミンB12などが含まれています。
オルニチンはシジミだけに飛び抜けて多く含まれる成分です。
【4】タウリン食品
タウリンはアミノ酸の一種ですが、これは肝臓の機能を保護したり、アンモニア解毒を促進します。
また、デトックスにおいて重要な働きがあります。タウリンを多く含む食材は下記です。
※100gあたりに含まれるタウリン含有量
- 牡蠣:1,130mg
- ほたて:769mg
- あさり:664mg
- たこ:520mg
- たら:300~450mg
- いか:350mg
【5】アブラナ科の野菜
アブラナ科野菜は「台所のドクター」「食卓のお薬」と言われるほど、健康における機能性が多岐に
わたります。中でも肝臓のサポートです。アブラナ科野菜には、ブロッコリー、芽キャベツ、
キャベツ、カリフラワー、ケール、カラシナ、カブ、ハクサイ、 ルッコラ、ワサビ、ダイコン、
クレソンなどがあります。中でも、ブロッコリーは、デトックスを高める体内のNrf2という成分を
高めるということが研究でわかっています。
【6】オメガ3食品
世界の多数の研究で、オメガ3は脂肪肝の予防や治療に有効であることが発表されています。
オメガ3を多く含む食材は、亜麻仁油、えごま油、青魚、鮭などです。
【7】ブルーベリー
ブルーベリーは肝臓の健康を維持するのに適した食材であることが多くの基礎研究で報告されて
います。旬に食べることが重要ですが、冷凍のブルーベリーでも栄養価はほとんど変わりません。
【8】ナッツ類
2019年のBMJという医学誌では、ナッツをよく食べると、脂肪肝のリスクが低下するということが
わかっています。ナッツにはシステインというアミノ酸を多く含みます。
システインは、放射性物質や水銀、カドミウム、鉛、ヒ素などの金属に吸着し、これらを無毒化
させます。システインのイオウ成分が肝臓や腎臓の解毒作用を発揮させます。
システインを多く含む食材は、ナッツ以外に、大豆、カツオ、サンマ、鶏・豚・牛肉、ニンニク
などです。
【9】きのこ類
きのこ類には肝臓保護効果があることが、2013年のブラジルの研究でわかっています。シイタケ、
マイタケ、しめじ、ヒラタケ、えのき茸などいろいろなきのこをバランスよく食べるのがいいです。
【10】梅干し
梅干しに含まれているピクリン酸は、肝臓の機能を活性化させるということが分かっています。
昔から、梅干しが二日酔いに良いというのはこういう理由でしょう。
以上が、肝臓をサポートする食材・栄養素10です。
他にも、クルクミン、ニンニク、緑茶(EGCG)、ビーツ、ケルセチン、レスベラトロール、
ゲニステインなどが有効です。
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