日本人は胃腸がそんなに強いほうではありません。その理由に、欧米圏などに比べると、
長い間、穀物菜食が主流であったこと、動物性たんぱく質の摂取が少なかったこと、
そして遺伝的背景などがあげられます。実際に、私もカウンセリングなどを通じて、
多くの方が胃腸機能弱いと感じています。
そんな私自身も、以前は、そんなに胃腸の強い体質ではなかったな、と思われます。
ただし、食事や栄養素を意識するようになると、
これが見事、胃腸機能が強くなってきます。もちろん、それは個体差がありますので、
回復期間が早い人もいれば、時間もかかる人もいて、やはり人それぞれです。
いずれにしても、適切な食事の「継続」が大事で、気づいたら、良くなってきてる!と感じるもの
です。
そこで、まず基本として押さえておいてほしいのが、ずばり下記の2つです。
①自律神経を整える
②よく噛んで唾液を出す
この2つだけでも、大きく変わります。これらがベースとなります。
自律神経とは、自分の意思とは関係なく、自動的に働く神経のことで、交感神経と副交感神経に
分かれます。簡単に言うと、緊張・興奮・活動のときは「交感神経」が優位になり、
リラックス・安心・休息のときは「副交感神経」が優位になります。
本来、食事の時は副交感神経が優位になり、消化液の分泌が促進されるわけですが、
いつも緊張状態の人は、交感神経が優位になっているため、どうしても消化液が十分に出ません。
こうして、胃腸機能が低下するのです。だから、交感神経が優位の人は、興奮を鎮め、リラックスの
状態をよく作っていくことがカギとなるでしょう。
続いて「よく噛んで唾液を出す」ですが、実際に、「私は胃腸機能が弱いんです。」
という人の多くが、食事を見ていると、あまり噛んでいません。まず、最低でも一口あたり30回噛む。
これだけでも、胃の負担が激減します。
噛むということは、食べ物を細かくするだけでなく、唾液を出すことに大きな意味があります。
唾液には、アミラーゼなどの消化酵素が入っており、また活性酸素を防ぐカタラーゼや、ばい菌や
ウイルスを抑制する殺菌成分などが多く含まれています。
そして、唾液は嚥下(飲み込む)をスムーズにし、さらに胃腸から分泌される「消化液」を大きく
刺激します。
よく噛む
↓
唾液がよく出る
↓
胃酸の分泌を刺激
↓
腸の消化酵素の分泌を促進
↓
胃腸の機能が良くなる
という風にイメージしてください。
しかし、頭では30回噛んだほうが良いと思っていても、実践していくと、いつか忘れてしまい、
気づいたら、元のまま噛まずに飲んでいたということもよくあります。そこでお勧めなのが、
「箸置き」です。食材を口の中に入れたら、まず箸を置きます。
そうすると、よく噛むようになります。よく噛んでから、飲み込んだら、また次の食材を口の中に
入れ、再び箸置きをします。これを続けていくと、数えなくても30回ぐらいよく噛むようになり、
胃腸の負担が減るのです。ぜひやってみてください。
ちなみに、弥生時代では1回の食事あたり食事時間は約50分、噛む回数は4,000回だった
という推計が出ています。
しかし、現代では、1回の食事あたり、食事時間は約10分、噛む回数は500回ぐらいです。
ここまで違うと、やはり噛まないとなぁとなりますね。
以上がベースとなるものですが、これに加えて、いくつか付け加えますね。
消化を上げるものとして、重要なのが「胆汁」です。胆汁は、油脂や脂溶性の栄養素を
消化するのに必要な消化液です。
しかし、日本ではこの胆汁が十分に出ていない人が多いです。
そういう人は、油料理や脂ののった食材を、いつの間にか控えるようになってるかもしれません。
胆汁の出が悪いと、油の栄養(オメガ3,オメガ6,飽和脂肪酸など)だけでなく、
ビタミンA,D,E,Kなどの脂溶性の栄養素の吸収も低下します。そうすれば、このような栄養素の
欠乏症が現れるかもしれません。では、どうすれば胆汁が十分に出るようになるでしょう。
それは「コレステロール」が大きなヒントとなるでしょう。胆汁はコレステロールを原料に肝臓で
作られます。血液検査項目で「LDLコレステロール」を見てください。この数値の最適値は、
120~130です。しかし、この最適値よりも低い人が多く、そうなると、胆汁の分泌量も低下する
かもしれません。だから、LDLコレステロールを最適値にしていくことです。
※もちろん高すぎても(160以上)よくありません。
LDLコレステロールを正常に上げていくには、まずはしっかりとタンパク質を摂ってください。
また動物性タンパク質はLDLコレステロールを上げやすいです。
そして、続いて「すい臓を元気にする」ことが重要です。すい臓は消化酵素を作る臓器です。
すい臓を良くする栄養素はこちらを参考に!
続いて「食事中に胃酸をしっかり出す」ことが重要です。胃酸というとネガティブなイメージが
あるかもしれません。確かに、食事以外で胃酸が多く出ていると、胃の粘膜がやられて、
最悪は胃潰瘍になりかねません。しかし、食事の時にはしっかり胃酸が分泌されないと、
タンパク質の消化が弱くなりさらにミネラルの吸収が低下し、またビタミンB12や葉酸の吸収も低下
するからです。
食事中に胃酸を良く出すには、
①調理を見る、嗅ぐ、音を聞く
②ふだんから制酸剤を飲み過ぎない
③ピロリ菌感染していない
④ふだんからタンパク質をよく摂っている
⑤食前に下記の食べ物を食べる
(酢の物、パセリ、ミントの葉、ショウガ汁、レモン水、希釈したリンゴ酢など)
胃酸の出が良くなる栄養療法として、
・ナイアシン
・ビタミンB1
・亜鉛
・タンパク質(アミノ酸)
・ボーンブロス
などが有効です。
最後に「消化を助ける食材」も重要です。
・糀(麹)
・大根おろし
・アボカド
・キウイフルーツ
・ショウガ
・パイナップル
・キャベツ
・生のタマネギ
・レタス
意識して消化力を上げていきましょう。
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