ピーマンの栄養学的特徴をまとめると、下記になります。
・カリウム、βカロテンの量が多い。
・赤ピーマンが圧倒して栄養価高い。
・トマピーも栄養価高い。
赤ピーマンというと、料理の色合いと飾りで利用する、基本的にめったに使わない
と思う人が多いでしょう。
しかし、赤ピーマンはピーマンの中でも優れた栄養価を持ちます。
ピーマンという言葉は、日本語です。英語では、sweet pepperとか、bell pepperと
呼ばれています。
では、なぜ日本ではピーマンというのか?それは、フランス語やスペイン語のピメントが
なまって、ピーマンとなったようです。
ピーマンは中南米が原産といわれています。
日本で、ピーマンというと「緑」色のものをまず思い浮かべると思いますが、
中国、ヨーロッパ、ほか海外では、緑だけでなく赤も黄もいろいろな色が混ざって、
それらをピーマンと呼びます。だから、たとえば中国で食べるチンジャオロース(青椒肉絲)には
緑色のピーマンだけではなく、赤のピーマンも入っています。
どうしても、日本はその食文化の性質上、野菜=緑というイメージがあるため、ピーマンも緑色が
主体となったのでしょう。
また、通常、赤ピーマンは、緑色のピーマンが樹の上で熟してなったものですが、
緑のピーマンが赤くなるのを待つと、約1ヶ月かかり、その間に収穫量は半分程度になってしまいます。
※通常、農業では、緑を赤にするのではなく、赤ピーマン専用の種苗を利用します。
そうした事情もあり、日本では、赤ピーマンは稀というか、貴重なものなのです。
ピーマンそのものに、栄養価が高いことが特徴なのですが、栄養価を比べると、赤ピーマンの
すごさがよく分かると思います。
・ピーマン(緑)カリウム190mg、マグネシウム11mg、βカロテン400μg、ビタミンC76mg
・赤ピーマン カリウム210mg、マグネシウム7mg、βカロテン1100μg、ビタミンC 170mg
・黄ピーマン カリウム200mg、マグネシウム10mg、βカロテン200μg、ビタミンC 150mg
・トマピー βカロテン1900μg、ビタミンC 200mg
2015年のピーマンの効果をまとめた論文では、ピーマンには非常に強力な抗酸化作用があることが
記されています。(Antioxidants (Basel). 2015 Jun; 4(2): 427-446)
特に、ピーマンの抗酸化作用は、熟成すると、つまり赤くなると活性が強くなるようです。
それはピーマンは熟すと(樹の上で)、ビタミンC、カロテノイド、フラボノイド、フェノールの
それぞれの含有量が高くなり、さらに、胃潰瘍に効果があるとされるビタミンU(=キャベジン)も
増えることがわかっています。また、ピーマンは熟すことで、「カプサンチン」という赤い色素の
カロテノイドが、多くなります。
カプサンチンには強力な抗酸化作用があります。
カプサンチン以外のカロテノイドでは、リコピンも多く、βカロテンもかなり多いです。
フェノール量も、赤>オレンジ>黄>緑とやはり赤ピーマンが多くなっています。
ピーマンはトウガラシ属のため、唐辛子と同じ仲間となります。
赤トウガラシには、カプサイシンという代謝を促す刺激成分が含まれていますが、ピーマンには
含まれていません。
代わりに、カプサイエート(カプシエイト)という刺激性の無い成分が含まれおり、これを摂ると、
持久力が上がり、さらに交感神経を活性化し、炎症を抑制するため、元気になります。
※ここでいう交感神経は、緊張状態を高めるデメリットの部分よりも、元気になる、活力が上がる、という風に思ってください。
実際に、昨年(2021年)に発表された中国の研究では、ピーマンをよく食べる高齢者は、
サルコペニアのリスクが低下すると報告しています。
※サルコペニア…加齢により全身の筋肉量と筋力が自然低下し、身体能力が低下した状態のこと。
さて、こうしてとても栄養価の高いピーマンですが、一つ問題がありますね。
はい、それは、子どもの嫌いな野菜、ナンバーワンにいつも上がっていることです。。
その理由に、「香り」をあげる子どもが多いのですが、鼻をつまんでピーマンを口に入れると、
案外食べれることから、香りではなく、ピーマンの「苦味」がそうしているとされています。
そして、興味深いことに、イタリアやスペインなどでは、日本とは真逆で、ピーマンが常に子供の
好きな野菜の上位であると報告されています。
なぜ、このような違いがあるのかというと、ヨーロッパでは、ピーマンをピザや煮込み料理などに
使うことが多いため、ピーマンの特徴的な香りやにおいが飛ぶから、苦味を感じなくなってるから
だそうです。
よって、ピーマンの苦手意識を克服するには、工夫した調理がポイントかもしれません。
そこで、ピーマンの苦味を消す方法などをまとめておきます。
・マヨネーズにはピーマンの苦味を低減する効果がある。
・ピーマンの苦味成分クエルシトリンは脂溶性のため、油通しをすると苦味が減る。
・赤ピーマンや赤パプリカを選ぶ。(甘い、苦味が少ない、栄養価が高い)
・子どもピーマンも苦味が少ない。
・ピーマンのヘタが五角形よりも六角形のほうが甘みがある。
・ピーマンは縦切りのほうが横切りよりも苦みを抑える。
・みじん切りは苦味が増える。
・電子レンジでチンすると、苦味が減る。
※ピーマンのレンチン術…耐熱皿にピーマン3~4個乗せて、大さじ1杯の料理酒をかけて、軽くラップし、600w3~4分レンチンすると苦味が減りやすい。
ちなみに、ピーマンは加熱しても、大きな栄養損失はありません。
コメント