電子レンジの賛否 ~D型アミノ酸 編~

電子レンジについて、ネットを見ているとさまざまな意見がありますね。

私は、電子レンジで簡単にチンすることは多いです。

電子レンジ、おそらく一部で批判されるだろうなぁとは思っていましたが、

予想通りでした。

ただ、電子レンジ批判している人のほとんどが証拠(エビデンス)をもっていません。

多くが、電子レンジ批判をまとめたサイトをシェアして、批判するだけです。

さらに、その記事主も、ただ、「〇〇博士が××と言っている」「ロシアが禁止した」

と書いているだけで、実際の文献などを提示していません。

なぜかというと、どこかで見つけた、二次情報を書いているからです。

おおもとの文献を実際に確認していませんし、そもそも、おおもとすら存在しないことが多い。

では、ここで電子レンジについて、私なりにまとめます。

これらはすべて文献エビデンスがある(確認した)上でのまとめです。

・電子レンジで気を付けるのは電磁波である。

・電子レンジで気を付けるのはプラスチック溶解である。

・電子レンジで栄養価は下がらない。

・電子レンジで発がん性物質にならない。

などとなります。以上が私の見解でもあります。

とはいえ、私は電子レンジを推奨しているわけではありません。

その理由は、やはり、火による加熱のほうが美味しいからです。

ただし、疲れてきちんとした料理ができない人やこれならまだ料理できるという人が

それなりに多くいる現実では、やはり電子レンジは一つの手段としてあってよいと思うのです。

すべて100点満点を目指して続かなくなるより、70点ぐらいで継続したほうが

最終的に良い結果を生みます。スーパーで冷凍食品を買ってきて、チンしてそればかり食べる

というのは、確かに健康的には良くありません。

ただ、きちんと食材を購入して、食材をレンジで温めるぐらいはなんら問題ないのです。

とはいえ、もちろんレンジ使用ばかりも、どうかとは思いますよ。

電子レンジについては、シリーズ化して、いろいろとエビデンスによる検証をして

いきたいと思いますが、本日は、「電子レンジはD型のアミノ酸を発生させるから良くない」

という理論を検証しましょう。

この理論は、実は、適当すぎる、単なる屁理屈です。

この引用として、ノーベル賞を受賞したライナス・ポーリング博士が「電子レンジで調理された食品

では、L型アミノ酸が、自然界にはないD型アミノ酸に変化してしまい、人間のカラダでは代謝不可能

だ。それが原因となって、きわめて有害な活性酸素の発生が促進される。」

というものがよく取り上げられます。

これについて、そもそも、英語サイトや英語文献を調べたらわかりますが、ポーリング博士が

そのようなことを言った事実はいっさい見つかりません。

仮にどこかでそう言ったとしても、実は調理でD型アミノ酸に変化するのは、

電子レンジだけではありません。

こうしたデマを受けて、ドイツのある研究所で、アミノ酸の入った水溶液を使って、

電子レンジで加熱した場合と、通常の加熱をした場合を比較したところ、

どちらもD型のアミノ酸がさほど検出しなかったのです。

(文献:Z Ernahrungswiss . 1992 Sep;31(3):219-24)

また、アメリカのバリー大学でも、ミルクを電子レンジで加熱した場合と、

通常の加熱をした場合で比較してところ、やはりD型のアミノ酸量の違いはなく、

どちらも栄養価に違いはありませんでした。(文献:J Am Coll Nutr . 1994 Apr;13(2):209-10)

つまり、D型のアミノ酸が多く増えるということはなく、さらに、電子レンジで微量にできたD型の

アミノ酸は通常の加熱と比較してもほぼ同程度です。

なので、この説で、電子レンジが危険だと言っている人は、

そのような科学的根拠が一つもありませんので、適当なことを言っているとなります。

ライナスポーリング博士にそのような語録もありませんでした。

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