梨の驚く効果!

梨はバラ科です。バラ科のフルーツは健康的なものが多く、結構おもしろいです。

梨のは、中国、西アジア、ヨーロッパでは3000年以上前から栽培の歴史があり、日本梨は、

中国の中南部原産と考えられる「ヤマナシ」が改良されたものといわれています。

幸水、豊水、二十世紀、新高などは有名ですが、みなさんはどれが好きでしょうか。

私はとりあえず定番の豊水がやはり好きです。二十世紀も懐かしいような梨というイメージで

おいしい。西洋梨、ラ・フランスは、ヨーロッパや西アジアが原産で、ヨーロッパで改良が進んだ

ものが西洋梨です。

<梨の栄養成分>

他の果実と比べて栄養面では、カリウムはそこそこ含まれており、ビタミンCもややあるぐらいで、

梨=健康食品というイメージは正直あまりないと思います。

ビタミン、ミネラル、食物繊維も、実はそんなに多くありません。

梨に含まれるポリフェノールは、もうなんといってもプロシアニジンと、クロロゲン酸、

そしてカテキンの3つがメインです。西洋梨のポリフェノール量の96%がプロシアニジンで、

これがとても良い成分です。

プロシアニジンは、強力な抗酸化作用をもち、カテキンが2つ結合した構造を持ちます。

りんごと梨はやはり似ていて、ポリフェノールの成分も似ていますが、唯一違うのが、梨にアルブチン

が含まれていることです。

アルブチンはメラニンの生成を阻害して、美白効果があるということで、化粧品にも配合されます。

<梨のポリフェノール アルブチンは皮に多い>

梨のポリフェノールはどの部分に多いかというと、やはり皮です。

海外の研究をいろいろ調べていくと、皮のポリフェノールは実の部分よりも6倍ぐらい多いというデータ

もあります。

また研究では、メラニンというシミの原因となる黒い色素を阻害する美白の成分「アルブチン」は、

豊水の梨であれば、果皮の部分に非常に多く、果肉の部分と比べると、皮の部分のほうが、アルブチン

が15倍ぐらい多いようです。

皮を食べるときは、ぬか漬けにするといいでしょう。残留農薬が心配なら、皮を良く洗って、

ぬか漬けにすれば菌によって分解されます。

<梨の健康効果(研究報告)>

2008年のブラジルの研究ではBMI25以上の肥満女性を集めて、

毎日の食事にりんご、梨、オートミールのクッキーを同じ食物繊維量・エネルギー量になるように、

10週間介入試験を行ったところ、結果、りんごまたは梨を食べたグループは、体重減が見られたそう

です。

ラットの研究では、りんご、もも、なしをラットに食べさせた場合、皮全体で与えた場合と、

皮をむいた果肉だけ与えた場合を比べたら、やはり皮全体をエサで与えたほうが、ラットにとって

非常に血中の抗酸化濃度があがり、さらに脂質代謝、コレステロールなどを低下させたという発表が

あります。

・ヒトの臨床研究で、りんご、梨、オレンジ、こうしたくだものを、喫煙者と、非喫煙者に分け、それぞれ26日間、毎日食べてもらった結果、りんご、梨などを食べた人は、血中の抗酸化能が全然違うぐらい上がりました。

しかし、喫煙者の場合、体の中で活性酸素が多いので、あまり上がらなかったようです。ただし、喫煙者の場合でも、りんご、梨を食べていくと、総コレステロールが高かったのが、正常まで下がったという報告を、この研究で言っています。

こうして、梨を食べると非常に抗酸化レベルが上がるということを発表しています。

・心血管の疾患リスクに関しては、フルーツに含まれるフラボノイドやスチルベンといった成分が非常にいいと。特に梨とかりんごには、こういったものが含まれているので、ぜひ食べたほうがいいという研究もあります。

・2013年のスウェーデンの研究では、7万4961人の参加者を集めて、10年間前向きに追跡しています。この中で、脳卒中が4000件ぐらい出たのですが、脳卒中を発症した人としていない人を比べたり、フルーツや野菜の摂取量を見た結果、おもしろいことに、りんごまたは梨、または緑の葉野菜を食べている方は、脳卒中のリスクが非常に低かったと言っています。

もちろん、いろいろフルーツ、野菜を食べている人は脳卒中のリスクが下がるんだけれども、とくにりんご、梨、緑の葉物野菜を食べている人に顕著だったと発表しています。

・2015年の中国の研究です。大規模なメタ分析をやった結果、これもフルーツ、野菜の摂取と脳卒中のリスクをみたところ、やはり柑橘類、りんご、なし、または葉物野菜をよく食べている人は、脳卒中のリスクが減ったと。梨がここでも入ってきているんですね。

・2012年のアメリカの研究では、2型糖尿病のリスクと野菜、フルーツの関係を見ました。こちらはすごく大規模で、365万人のうち1万2000人が糖尿病になったのですが、こちらのコホート研究では、だいたい3つのフルーツ、一つはアントシアニン豊富なブルーベリー、りんご、または梨が特に2型糖尿病のリスクを低下させたと発表しています。

・2015年、同じようなアメリカの研究で、閉経後の女性を追跡調査して、いわゆる心血管疾患の死亡リスクを見て、結果同様に、りんごまたは梨を食べている人は、冠状動脈性心臓病のリスクが減ったと発表しています。

・2013年、ハーバード大学では、こちらもフルーツや野菜を食べている人は、2型糖尿病のリスクが低いけれども、とくに、ブルーベリー、ブドウ、りんご、または梨の消費量が低いほど、2型糖尿病のリスクが低くなったと言っています。

おもしろいことに、ブルーベリー、ブドウ、りんご、梨単体といった普通のフルーツを食べると2型糖尿病のリスクが下がるが、フルーツジュースをよく飲む人は、2型糖尿病のリスクが上がる、と言っています。

フルーツジュースというのは、いわゆる市販の紙パックに入っている、食物繊維がほとんど入ってなくて、甘いものだけを抽出したようなものをイメージしてください。

「一物全体」と昔の人はよく言ったもので、やはり、食べ物はできるだけ未加工の状態で、そのものを食べるというのが大事です。

・50~64歳のデンマークの5万7000人の総死亡率を、12年間の追跡で見たものでは、結果、ほかの食べ物についても言っていますが、やはり梨をよく食べる人は、とくに男性のほうで顕著に死亡率が低いということを言っています。同時に、この研究が面白いのは、全粒ライ麦パン、恐らくライ麦100%、しかも全粒のライ麦パンをよく摂取している人は、死亡率がやはり低下していると言っています。

まだいっぱいあります。ほとんどが疫学研究ですが、たくさん確認できます。

・フルーツと野菜とがんに関する前向きコホート研究で、EPICという有名な研究の結果を見ると、りんごと梨という二つのフルーツが、肺がんの減少に関連しているということが分かりました。

・アメリカの国立衛生研究所の、有名なAARPダイエットと健康研究があり、こちらも肺がんを減少させる食べ物を発表しています。おもしろかったのが、やはり梨なんですよ。梨、りんご、桃、ネクタリン、プラム、いちごなど、なぜかバラ科のフルーツに共通して、肺がんを減少させているということを言っています。

・2008年のアメリカの小さい研究では、梨をよく食べる人は、肺がん、胃がん、膀胱がんなどのがんを予防する可能性があるということも言っています。

<梨は意外と機能性が高い!>

梨にはもう一つおもしろい成分があります。

疫学研究を見ると、梨は2型糖尿病を抑えやすいと、それはなぜかといろいろ調べていくと、α-グルコシダーゼ阻害成分が入っているんです。これは、血糖値の急騰、つまり高血糖を阻害してくれる、糖質の吸収を緩やかにしてくれる。もちろん果肉の部分に含まれているけれども、どちらかというと、皮の部分に多いと研究発表があります。

あと、高血圧を抑制する成分も、梨には含まれています。

ぜひ梨を食べましょう!可能なら皮も!

100g食べても40kcalぐらいですから、カロリー量も非常に少ないです。

※だいたいフルーツは40~50kcalぐらいのカロリーです。

喉が渇いたときに冷蔵庫を開けて、すぐお茶や水を飲むのもいいんですが、喉の渇きを潤すのに、

フルーツも使ってみてください。

(もちろん水分の摂りすぎによる下痢や軟便などに注意してくださいね。)

梨はほとんどが水分なので、喉が潤います。そのときに、こういった良い機能成分も、

ちょうどいい具合の糖分も、ミネラル、ビタミン、食物繊維も摂れるということで、

水分補給で食べてほしいです。

<梨のデメリット>

・ペクチンなど、比較的便通をよくする成分も、水分量も多いので、かえってそれが過敏性腸症候群の人には刺激になる可能性があります。食べてみて、ちょっと軟便っぽいな、と思うかたは、ちょっと少量にするとか控えるとか。そうでない限り、食べていいと思います。

・今はちょっと分かりませんが、西洋梨、ラ・フランスに関しては、比較的残留農薬が多いという報告があるので、西洋梨、ラ・フランスに関しては、皮はむいた方がいいと思います。

普通の日本の梨、豊水とかであれば、よく皮を洗えば大丈夫だと思います。

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