「ビタミンCはサプリから摂れば、1,000mgはすぐに摂れる」
「でも、フルーツなどの食材からはせいぜい30~100mg程度。」とおっしゃる人は多いです。
確かにそうなんですが、新しい研究では、
食材由来の天然ビタミンCは軽視しないほうがいいということを示しています。
ビタミンCを含む食品は基本的に自然界ではとても少ないため、サプリメントなどで補給している
方も多いことでしょう。
実際に、私もサプリメントで補給しており、現代人はやはりビタミンCを最低1,000mg/日は必要
であると思っています。
そうなると、確かに食事のみでは難しいです。さらに、食材のビタミンC含有量は、
サプリメントと比較すると、30~100mgぐらいでとても少ないため、軽視されます。
市販のビタミンCサプリのほぼ99%は合成ビタミンCです。
いわゆるアスコルビン酸です。合成によるアスコルビン酸であっても、基本的に天然のものと
化学構造式は変わりありません。しかし、厳密に言うとその存在のしかたが少し違うのです。
どういうことかというと、天然ビタミンCはフラボノイドなどの植物成分との複合体で
ビタミンCを形成しているのです。
自然界では、アスコルビン酸単体で存在することはほとんどありません。
(ちなみに合成ものはSynthetic Vitamin Cといわれ、Pubmedなどで検索すると、普通に見つかります)
そのこともあり、「アスコルビン酸=合成もの」と揶揄する人も結構います。
ただし、一般に科学分野ではビタミンCの定義がアスコルビン酸とされていますので、
アスコルビン酸とビタミンCが同等のものとして扱われるのは仕方のないことでしょう。
もちろん、市販ビタミンCが合成ものだからといって、危険だとか、偽物だとか言うことでは
ありません。
なぜなら、たとえ合成アスコルビン酸でも数知れないほど多くの効果が報告されているからです。
※市販のビタミンCはほぼ99%合成のアスコルビン酸ですが、これは水素添加されアセトンで処理されたGMO(遺伝子組み換え作物)由来コーンシロップを原料に合成されています。当然コーンシロップにビタミンCは含まれていません。古典的な製法の場合、これらの糖に塩酸などを加えて、構造上のビタミンCを合成していきます(実際にはいろんな方法があります)。
※NON-GMO(遺伝子組み換えでない)と書いていても、それが何かの天然抽出物であるという説明がない限り、GMO由来でないだけでコーンシロップ原料であることは変わりありません。
とはいえ、本来の天然ビタミンCは有機物との複合体で形成されており、合成アスコルビン酸には
ない、さまざまな利点があります。
天然ビタミンCの短所は、単に入手しづらい、食材から摂取しようとすると量が少ないというだけ
です。天然ビタミンCの利点は生体利用率が合成ビタミンCよりも高いことです。
実際に、合成アスコルビン酸と、これに相当するビタミンC量が見込まれたアセロラジュースとの
生体利用率の比較試験では、天然ビタミンCの方がより長く体内で維持され、天然の方がビタミンC
尿排泄量も少ないことが判明しました。(Biol Pharm Bull. 2011;34(11):1744-7)
また、血液や肝臓でより多く利用可能であるということもわかっています。
(J.A.Vinson,Royal Society of Chemistry, 1989,P404)
合成アスコルビン酸は天然に比べると体内での半減期が短く、一方、天然ビタミンCの吸収は
合成アスコルビン酸に比べればゆっくりと吸収され、細胞への持続時間も長いのです。
そもそも、私たちは進化上、単体のアスコルビ酸を摂取してきたわけでなく、
あくまで食材の中に存在している植物フラボノイドなどと複合体の形でとどまっている
天然ビタミンCを摂取してきた歴史があります。
つまり、合成アスコルビン酸は天然のものと化学構造上は同一でも、単体ではなく天然の食材から摂る
ことでビタミンCと複合体を形成しているフラボノイドやミネラルなどによって、
生体利用率に大きく影響をしているのです。(Nutrients. 2013 Nov; 5(11): 4284-4304)
だから、私は、あらゆる食材の中でもビタミンCを多く含む食材なら、サプリメントに比べて少ない
ビタミンC含有量であっても、しっかり皆さんに「推す」のです。
例えば、キウイフルーツですが、100g中69mgもビタミンCが含まれており、たしかにサプリメントに
比べたら少ないように見えるかもしれませんが、食品の中でトップのクラスにあり、
さらに、フラボノイドと複合体を形成した天然ビタミンCであるということを考えれば、とても貴重な
のです。
ビタミンCはサプリ(合成アスコルビン酸)で摂っているから食材はそこまで意識しなくとも大丈夫
という感覚の人が増えたような気がしますが、天然ビタミンCの生体利用率などのメリットや希少価値
を考えるのなら、たとえサプリに比べたら少量のビタミンCであってもやはり食材から栄養素を摂取
するということは大切です。
それがたとえ30mgや50mgという、サプリに比べたら少量のビタミンCであっても、天然の形から
ビタミンCを摂取できるというのは生体にとって非常に価値のあるものです。
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