サツマイモって「糖質が多いんじゃない?」「だから、そんな食べちゃっていいのかな」
というのがあるかもしれません。
しかし、実は、サツマイモ・ダイエットという言葉があり、サツマイモは痩せる食材です。
サツマイモは実は低カロリーで、とても健康効果が高く、腸内環境の改善にも役立ちます。
ぜひ、おやつとした食べて欲しいです。
サツマイモのポイントは
①ねっとり系よりもホクホク系を選ぶ
②蒸して、いったん冷まして食べる(可能なら)
③紫いもが特に良い(可能なら)
■サツマイモがこれから見直される二つの理由(食糧危機と農作物の減少)
サツマイモは、これからおそらく、時代とともに見直される食材だろうと思います。
理由は二つあります。
一つは、食糧危機がやってきているというところです。
たとえばお米を作るのには、非常に多くの肥料がいります。
ところが、今、世界的に資源が減っております。
そうなると、美味しいお米がそんなに当たり前のように食べられる時代がなくなるかもしれません。
そのときに役立つのが、今回のサツマイモ。
今すぐじゃないですけれども、いろんな意味で、サツマイモはこれから見直されるんじゃないかな、
というふうに思います。
■サツマイモは原始的農業だけど、お米は後のもの。お米というものは、比較的農耕文化の中では、
最後の作物なんですよ。
最初の作物、原始的農業というのは、お米のようないわゆる水田稲作ではないです。
もともとの原始的農業は、「焼畑農耕」です。
近年、自然栽培とか、自然農が注目されていますけれども、これらは原始的農業ではないです。
これらは新しい思想に基づく、また飽食時代というバックアップがあるからこそ、成り立つ農業です。
文化人類学、考古学を勉強していると分かりますが、原始的農業・農耕というのは、水田稲作でもないし、自然農、自然栽培でもなくて、焼畑農耕です。
焼畑農耕の作物というのは、大麦、アワ、ヒエ、キビ、蕎麦、などの雑穀類や、大豆、小豆などの豆類、そしてサツマイモなどの根茎です。
だから、焼畑農耕の作物というのは、基本的にお米は入りません。もともと、西日本や東アジアなどを
中心とした、照葉樹林地帯では、ずっと焼畑農耕が盛んでした。
そのあと、換金作物として、いわゆる上納をする作物として、お米が作られたぐらいで、昔の人は、
さほどお米を食べてきていません。
基本的には、お米というのは今までも、人類の飢餓を救える、いわゆる救荒作物ではありません。
どちらかというと、普通の庶民は、麦、アワ、ヒエ、キビ、蕎麦、サツマイモ、これが主食でした。
1980年ぐらいまで、世界一の長寿地域だった沖縄は、こういった雑穀やサツマイモが主食でした。
※実際日本人の多くは、江戸時代の後期までは、お米を主食にすることはできていません。食べていたのはイモ、そして雑穀ということになります。
現在も石器時代の生活を続けている、ニューギニア高地人の主食はサツマイモなどです。
■現在嗜好品のサツマイモは実は使える食材(V.C、レジスタントスターチ、ヤラピン)
しかし、現代の私たちは今、お米が中心となっていますから、サツマイモは嗜好品という立ち位置
です。さらに、サツマイモは品種改良して非常に甘ったるい、安納芋や紅はるかが主体となり、
昔のホクホク系がなくなりつつあるので、今はサツマイモは嗜好品であり、それどころか、
「いやいや、糖質が多いから基本的には食べるな」という医師すらいるという、こういった汚名を
着せられているわけです。ところが、サツマイモは栄養学的にも健康効果においてもとても
使える食材であります。
まずサツマイモはビタミンCが多いです。ジャガイモなどイモ類はだいたいビタミンCは多いです。
人類史と重ねてみても、サツマイモやジャガイモを主食にしているところは、ビタミンC欠乏症
つまり壊血病が起こることはそうありません。
お米や小麦ばかりを主食にしているところは、ビタミンC欠乏により、昔はよく起きていました。
サツマイモはみかんと同等ぐらい、食品100g中、ビタミンCが30㎎前後はあります。
食品成分表を見ますと、食物繊維は総量2.8g含まれていますけれども、サツマイモが腸内環境にいい、
というのは、レジスタントスターチです。
これは食物繊維ではありませんので、カウントされていません。
レジスタントスターチはでんぷん質が固まったものです。だから、昔のホクホク系であれば、
レジスタントスターチがわりと多かったです。
レジスタントスターチというのは、難消化性でんぷんといって、でんぷん質なのですが、
冷えて固まれば、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の両方の働きをするものなのです。
便秘改善にもなります。便秘がちの人は、さらにサツマイモを皮ごと食べましょう。
その理由は、「ヤラピン」という成分です。ヤラピンは、サツマイモを切ったときに、
断面から出てくる、あの白い液体です。あの白い液体の正体は、サツマイモだけに唯一含まれる、
ヤラピンという成分です。
ヤラピンは、食物繊維と同じように、腸のぜん動運動を促進したり、便通をよくしてくれます。
さらに、加熱しても、この効果は失われることはなく、サツマイモの皮から5ミリ以内に、
ヤラピンが多く含まれていることがわかっています。サツマイモを食べるときは、
ぜひ皮ごと食べるというのがおすすめです。サツマイモの皮をよく洗って、よけいな汚れを落として、
きちんと蒸し上げれば、皮は全然食べられます。
■9月はホクホク系のサツマイモの日本の原種を食べてほしい!
サツマイモの旬は、9月末~10月、11月あたりです。
しかし、冬に近づく出荷のものほど、甘ったるい品種のものが多くて、カロリーも、同じ100gで30kcal
ぐらい変わります。
サツマイモを100gでも、紅あずまという、比較的ホクホク系であれば、132kcalとお米より低いのです
が、安納芋だったら143kcalまで上がり、最近人気の紅はるかという甘い品種は163kcalもあります。
そう考えると、やはり昔ながらのホクホク系のものをおすすめします。
■サツマイモのその他の栄養(カリウム、VB1)サツマイモの栄養はカリウムが多いです(380mg)。
むくみ防止に期待できます。また、体の中の塩分を正常に排出してくれます。
ほかビタミンB1も多く、エネルギーの代謝を高めるビオチンや、ビタミンEも多いです!
サツマイモ100gを食べるだけで、1日に必要なビタミンの5分の1が摂れます。
■食糧危機を救うサツマイモ(栽培が簡単で干ばつに強い・歴史的にも)
さらにサツマイモは栄養価だけでなく、食糧危機を救う食材でもあります。まさに救世主です。
実は、サツマイモは、栽培が簡単で、干ばつに強いです。サツマイモは肥料も農薬も少なめででき、
栽培がわりと簡単です。ある研究では、日本をどうやって将来の食糧危機から救っていくのか?
(資源不足を考えると)お米を主食として続けていくのは難しいのです。
そうなると、もうサツマイモしかありません。(ジャガイモ産地の北海道をのぞき)
日本国土全体で考えれば、サツマイモの主食が食糧危機から救います。
サツマイモは、先述したように、農薬、肥料をそんなに多くいらないし、割と簡単です。
また、一般の作物が不作のときでも、サツマイモは干ばつに強いです。さらに収量も多いことから、
そもそも歴史的にみても救荒作物として利用されてきました。
現在、地球規模の、穀物の干ばつが起きています。私たちが本当の意味で直面するのはもう時間の問題です。
※紛争による穀物の減少もあり。今後紛争はさらに増えるのではないでしょうか。
またサツマイモを作れば、同じ面積でも、お米の3倍の人口を養うことができるので、
(タンパク質は棚に置いておいて)カロリーベースでいけば、まず足りるから、サツマイモを食べて
いけば、とりあえず飢餓は減るというところがあるでしょう。
■長寿地域にはサツマイモを主食にしているところが多い
長寿地域は、たいていサツマイモを食べてきているという歴史があります。
お米よりは、サツマイモを食べてきている歴史があります。
サツマイモという名前でもわかるように、薩摩の国で生産されていたイモです。
実際に、江戸時代で飢饉があったときでも、薩摩の国では、餓死者を出さなかったのです。
それを知った徳川吉宗は、急いで薩摩藩から種芋を取り寄せて、関東一円にサツマイモを植えさせる
という、とてもすごい政策を行ったのです。結果、餓死者がかなり減りました。
■サツマイモの薬理作用
・レジスタントスターチが多い
・ヤラピンの便秘解消効果
・クロロゲン酸などのポリフェノールが多い
■紫芋を食べてほしい!豊富な研究論文を紹介
それと、中身が紫色のサツマイモをお勧めします。
これはアントシアニンが多く含まれていてます。
研究によると、紫いもは、ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌を多く増やすことが分かっています。
(Sci Rep. 2018 Mar 22;8(1):5018)(J Agric Food Chem. 2016 Mar 30;64(12):2582-90)
これは食物繊維の効果だけでなく、アントシアニンの効果でもあります。
ビフィズス菌、乳酸菌というのは、食物繊維だけではなくて、実はポリフェノールなどもエサにして
増えやすいということが分かっています。
アントシアニンは、大腸がんに効果的であるということも有名です。
乳がんの予防にも良いということで注目されています。
実際にマウス研究では、紫芋を食べたマウスは、大腸がんの発生率が、かなり低くなったということを発表しています。
2013年のアメリカの研究では、紫イモをマウスに食べさせたところ、大腸がんの発症が、
かなり下がったということを報告しています。(Mol Nutr Food Res . 2013 Nov;57(11):1908-17)
2017年のニュージーランドの研究では、アントシアニンが豊富な紫芋をマウスが食べたところ、
腫瘍の数がかなり減ったのです。とくに大腸がんに効果的である、と言っています。
(J Cancer Prev. 2017 Sep;22(3):135-146)
普通のサツマイモにも
大腸がんにおける、抗がん効果があると、2013年に発表されています。(マウスの研究)
(World J Gastroenterol. 2013 Jun 7;19(21):3300-8)
また、2016年のナイジェリアとインドとの共同研究で発がん性物質をマウスに食べてもらって、
同時にサツマイモを与えたグループと与えていないグループに分けたところ、
サツマイモを食べたグループのほうが、大腸がんの発症率が減っていた、と報告されています。
同時に研究者らは、サツマイモは、皮ごと食べたほうがいいということを言っています。
この皮の成分に、抗がん作用が非常に強いと。(Nutr Cancer. 2016 Nov-Dec;68(8):1330-1337)
もちろん皮なしでも、抗がん作用はあるらしいです。
皮を食べると、より効果が高いということを知っておくといいでしょう。
■サツマイモの食べ方(レンジで蒸して食べる)
一番いいのは、「蒸す」です。
ただ、焼きいもにすると水分が抜け、
甘さが秀でてしまい、
さらにでんぷんの多くが、サツマイモに含まれるアミラーゼによって、
麦芽糖に変化して、吸収されやすくなるので、
血糖値が上がりやすくなります。
よって、一番いいのは、「蒸す」です。おすすめなのが、電子レンジです。
※電子レンジ反対のかたは、鍋やフライパンなどで普通に蒸し料理してください。^^
サツマイモをまずしっかり洗って、キッチンペーパーで包みます。
そして、その上からちょっと水をかけて、キッチンペーパー全体をまんべんなく濡らします。
続いて、キッチンペーパーの上からラップで包んで、レンジで加熱します。
以上です。サツマイモは本当にダイエットに向いていますから、お試しください。
ダイエットする必要が無い人でも、サツマイモをぜひ楽しんでくださいね!
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