子宮筋腫を予防する食事

日本人女性に多い子宮筋腫。

日本では子宮筋腫の推定受診患者数は11万6000人で(平成29年厚労省調べ)、35歳以上の女性の20~30パーセント、40歳以上では40~50パーセント。

婦人科系では、もっとも罹患数の多い症状です。

悪性腫瘍(がん)ではありませんが、例えるなら「筋肉のこぶ」で、貧血や痛みなどの症状の原因となります。

一般的には、筋腫は卵巣から分泌される女性ホルモンによって大きくなり、放っておくと巨大化していきます。

【子宮筋腫の標準治療】

子宮筋腫は一般的に下記の順で治療が進められます。

(※実際には医療機関の指示に従ってください)

・痛みがある場合、まず鎮痛剤

・漢方薬・・・血の流れを改善する生薬(活血薬)など

・低用量ピル(痛みを減らす)

・黄体ホルモン製剤

・GnRh療法(偽閉経療法)

(・手術)など、

○こうした治療薬の考え方として、まずは短期的計画において使用し、症状を落ち着かせている間に根本原因を考え、食事や栄養療法で解決していく、というのがいいでしょう。

【子宮筋腫は生活習慣病の結果である】

・子宮筋腫の多くは、長年積み上げてきた生活習慣に起因します。

・よって、生活習慣を変えることで、子宮筋腫も軽減できます。

→何年もかけて大きくなったものなので、数か月ぐらいで消すということではなく、長年の時間をかけて取り組む必要があります。

※子宮筋腫は女性ホルモンのエストロゲンの影響を受けるため、生理前や妊娠中に大きくなりやすいです。

【子宮筋腫のリスク要因】

・肥満やBMI高値

・初潮年齢の低さ

・出産の未経験

・遺伝

・トランス脂肪酸

・野菜不足、フルーツ摂取の不足

・大豆食品の摂取不足

・内分泌かく乱物質

・加工肉 など

(Nutrients. 2021 Apr; 13(4): 1178)

(Semin Reprod Med . 2010 May;28(3):204-17)

(Obstet Gynecol. 1999 Sep;94(3):395-8)

【食事療法と栄養療法】

※以下はあくまで参考にしてください。実際に実施する場合は、主治医の許可と監視のもと行う必要があります。

①ビタミンD

疫学研究では、血中ビタミンD濃度が低いと、子宮筋腫の発症リスクが上がることを指摘しています。

(Nutrients. 2022 Feb; 14(4): 734)

基礎研究でも、ビタミンD欠乏は、筋腫細胞の増殖を活性化し、DNA損傷を悪化させることがわかっています。

(Fertil Steril . 2009 May;91(5):1919-25)

(Int J Womens Health . 2018 Aug 29;10:503-514)

いくつかの他の研究でも、ビタミンD補給が筋腫細胞の増殖を減少させることが報告されています。

(Reprod Sci. 2014 Sep;21(9):1108-19)

(Biol Reprod. 2012 Apr 19;86(4):116)

(Fertil Steril. 2019 Feb;111(2):397-407)

②プロバイオティクス

腸内細菌バランスが良好であると、子宮筋腫のリスクを低下させる可能性があります。

(Nutrients. 2022 Feb; 14(4): 734)

(Nat Commun. 2017 Oct 17;8(1):875)

また、子宮筋腫の女性の腸内細菌を調べた研究では、その多様性が低く、いくつかの善玉菌(ビフィズス菌、乳酸桿菌など)が少ないことがわかりました。

(Front Cell Infect Microbiol . 2022 May 11;12:863594)

発酵食品、プロバイオティクス製剤(ビフィズス菌、乳酸菌、ロイテリ菌、酪酸菌)などを利用して、腸内環境を良好にしておきましょう。

③アブラナ科の野菜

2016年の中国の疫学研究では、ブロッコリーや白菜などアブラナ科の野菜が子宮筋腫の発症リスクを大幅に下げていることが報告されています。

(J Obstet Gynaecol Res . 2016 Jan;42(1):87-94)

研究者らは、フルーツやアブラナ科の野菜の摂取量を増やすと、子宮筋腫の発症率が低下する可能性があるとまとめています。

実際に、アブラナ科の野菜に含まれているスルフォラファンは、子宮筋腫の細胞の増殖を軽減し、炎症を抑える働きがあります。

(J. Clin. Med. 2020, 9(5), 1479)

④トマト

2016年の中国の疫学研究では、トマトが子宮筋腫の発症リスクを大幅に下げていることが報告されています。

(J Obstet Gynaecol Res . 2016 Jan;42(1):87-94)

動物研究では、リコピンの補給が子宮筋腫の発症を軽減しています。

(Nutr Cancer. 2004;50(2):181-9)

(Nutr Cancer. 2007;59(1):70-5)

ただし、ヒトの研究では、リコピンなどのカロテノイド摂取が子宮筋腫のリスクを下げるといったエビデンスはまだありません。

⑤柑橘類

2011年のボストン大学の研究では、柑橘類の摂取が、米国の黒人女性の子宮筋腫の発症リスクを低下させたことを報告しています。

(Am J Clin Nutr. 2011 Dec;94(6):1620-31)

⑥緑茶(EGCG)

緑茶に含まれるEGCGの摂取が、子宮筋腫の量が大幅に減少することがわかっています。

(Nutrients. 2022 Feb; 14(4): 734)

(Gynecol Endocrinol. 2022 Jan;38(1):63-67)

⑦セレン

動物研究では、セレンの補給が、子宮筋腫のサイズを縮小させたことを報告しています。

(Nutr Cancer. 2010;62(4):495-500)

コメント