がんはストレスや環境なども原因となりますが、基本は食事が原因です。
■乳がんを予防する5つの栄養素
①ビタミンD
・1950年代からアメリカでビタミンDとがんの研究がされている。
・1950〜69年にアメリカで行われた乳がんの発症率と太陽光の関係の調査で、紫外線が当たる地域の方が乳がんリスクが低いことがわかり、ビタミンDが注目されるようになった。
・カリフォルニア大学ガーランド博士の研究:血中のビタミンD量が充足している人は、充足していない人に比べて乳がんの発症リスクが半分まで下がると発表。
・2007年の研究:一日2000IUのビタミンDを摂取し、かつ適度な日光浴を行うと血中のビタミンD量が上がり、乳がんの発症リスクが50%まで低下する。
・2005年マサチューセッツ大学:43〜69歳の女性32,826人を7年間追跡した調査では、ビタミンD濃度が高いグループは乳がんの発症リスクが低下することがわかった。
・カリフォルニア大学の分析:ビタミンD濃度が高いグループ(48以上)は、低いグループ(10未満)に比べると発症リスクが50%低かった。
・2015年発表:血中のビタミンD濃度が低いとがんが転移しやすい。
非転移性のがんが転移性のがんに変わるのはビタミンD濃度が低い時なので、ビタミンD濃度を上げることが重要。
・ストレスで出てくるコルチゾールのホルモン分泌が高いと転移性のがんに変わりやすい。
・普段からビタミンDの血中濃度が40ng/ml以上あることが望ましく、30未満は不足。
・40は最低量で、できれば70以上ある方が安心。
がんの原発巣を退治するのが標準治療ですが、転移や新たな増殖に気を付けることが大切です。
がんによる死亡のほとんどが転移が原因であるため、栄養療法で大事なのは“いかに転移を防ぐか”ということになります。
②マグネシウム
・2016年 乳がん患者を対象にした研究:マグネシウムを食べている人は乳がんによる死亡リスクを低下させた。
・2004年 がんのマウスを用いた研究:マグネシウム欠乏食を与えたマウスは癌の転移が増えた。
・乳がんマウスにマグネシウムを補給すると生存期間が長くなり、大きな腫瘍に対しても耐性を持つようになった。
→マグネシウムは乳がんを予防、増殖を防ぐ、転移を防ぐ。
・マグネシウムはビタミンDを活性型にするのにも必要。
③亜鉛
・乳がんと亜鉛の研究論文は非常に多い。
・2011年カナダの症例対照研究:乳がん患者2,362人と患者でない2,462人を比較したところ、10年以上しっかり亜鉛を補給したグループとあまり食べてないグループでは乳がんリスクが半分以下に下がった。
→長期的な亜鉛補給は乳がんリスクを低下させる可能性があると発表。
・2012年ポーランドの研究:血清の亜鉛濃度が低い人は乳がんリスクが高くなり、亜鉛のうどが高い人は乳がんリスクが下がると発表。
④セレン
・乳がんの予防因子として近年注目されている。
・2009年マレーシア:乳がん患者とそうでない人を対象にした調査では、食事アンケートによると乳がん患者はセレンの摂取量が低く、セレン摂取量が25%上がるごとに、乳がんリスクも下がることがわかった。
・ギリシャの研究:乳がん患者の血清セレン濃度は健常者に比べて圧倒的に低かった。
・2005年カナダ:乳がんリスク遺伝子BRCA1の変異を持った女性にセレンのサプリメントを3ヶ月摂取してもらったところ、染色体切断の数は正常に減少した。
→変異を持っていてもセレンによりその影響を減らすことができる。
・セレンは、グルタチオンペルオキシダーゼ(活性酸素を除去してくれる重要な抗酸化酵素)の活性に必要な構成成分であるためがんの予防に効果がある。
・セレンはビタミンEと相性がよく、相乗効果があるとわかっている。
・セレンの理想的な摂取量は100〜150μgで、慢性疾患を予防するには100以上。
・海外のサプリは200以上のものもあるが、摂り過ぎもよくなく、もしサプリを使用する場合は100程度のものを選んでください。
・全粒穀物はセレンが多く、白米中心だとセレンの摂取量が減ってしまう。
・主食を全粒穀物にすることで効率よくミネラルを摂取できるのでおすすめです。
・お魚をよく食べる人はセレンの充足率が高い。
・月に2〜3回のレバーや、牛肉、鶏肉、卵、ほうれん草、ナッツ、豆類などがおすすめ。
・手っ取り早くする摂取するには、ブラジルナッツ(1粒で1日に必要な量が取れる)。
⑤オメガ3
・油と乳がんは密接に関係しており、オメガ6のリノール酸ががんの増殖を進め、一方オメガ3の油はがんを抑制することがわかっている。
・魚を食べることは乳がんに対して有効。
・1980年グリーンランド:魚をよく食べるグリーンランドは、肉中心の食事の国よりも乳がん発症リスクが半分まで下がる。
・1986年カナダ:魚食が多い人は乳がんの発症リスクが38%下がる。
・1989年 32カ国の大規模調査:魚をよく消費する人は乳がんによる死亡リスクが47%下がる。
・1990年 20カ国の研究:オメガ3をよく食べている人は乳がんの発症リスクが下がり、オメガ6が多い人はリスクが上がる。
・1990年ノルウェーの14,500人を対象にした研究:魚の摂取量が多いと乳がん発症リスクが20%下がる。
・1993年 30カ国の研究:10年前から魚をしっかり食べている人は乳がんの死亡リスクが下がる。
・1996年ヨーロッパ24カ国の研究:魚の脂をしっかり食べている人は乳がんの死亡率が下がる。
大半の研究で魚を食べることは乳がんに有効であるとわかっています。
ちなみに「乳がん」と「大腸がん」の2つは魚の摂取で抑制できるということが顕著に現れています。
現代人の9割がビタミンD不足と言われています。
さらに女性は鉄欠乏、亜鉛欠乏、マグネシウム欠乏にもなりやすいです。
気を付けることはたくさんありますが、楽しんで食べて病気を予防して行きましょう!
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