アルコールのデトックス

お酒を飲む方も飲まない方も知っておいてください。

■最近の基準

・アメリカでの基準では、女性は1日1杯(週7回)、男性は1日2回(週14回)を超える飲酒はアルコールの乱用と見なされる。

・2023年、カナダの薬物使用・依存センター(CCSA)はアルコール摂取に関する指針を12年ぶりに改定し、「年齢、性別、民族、アルコール耐性、生活習慣に関係なく、飲酒は全ての人にダメージを与える」とし、ビールやワインなどは週1〜2杯に抑える方が良いとしている。

・CCSAによるアルコール摂取リスクの発表では、1週間3〜6杯で乳がんなどのリスクを上げ、7杯以上は脳卒中などのリスクを上げるとして警告。

■アルコールによって失われる栄養素

<亜鉛>
・2017年アルコール学会誌の発表では、アルコール摂取量の多い人は亜鉛欠乏が頻繁に確認され、特に目、鼻、口の周りにかさぶた、手や足の先に皮膚の病変が起きやすいと報告。

<マグネシウム>
・1994年発表の研究では、アルコールはマグネシウムの尿排泄に強力に作用すると報告。

<ビタミンB1>
・アルコールはビタミンB1(チアミン)量を急速に低下させ、その吸収、貯蔵、活性化、排泄に影響を与えると言われている。

<葉酸>
・アルコールは葉酸の吸収、組織への輸送などを妨げるとされ、ある研究では2週間の適度なアルコールでさえ健康男性の血清の葉酸濃度を大幅に低下させた。

<ビタミンB12>
・ある研究では、アルコールの中程度及び大量の摂取がビタミンB12レベルに悪影響を及ぼし、別の研究でもアルコール消費量が1日0gから30gに増加するだけで平均血清ビタミンB12濃度が5%減少したと発表。

・他にも、セレン、ビタミンB2(リボフラビン)、B3(ナイアシン)、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンEなど損失する栄養素は多い。

■アルコールを分解する

<アルコール→アルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)→アセトアルデヒド→アルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH)→酢酸>
・アルコールはまず、アルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)という酵素によりアセトアルデヒドに変化し、次にアセトアルデヒドはアルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH)という酵素により酢酸に分解され、解毒されます。

・二日酔いは途中代謝産物であるアセトアルデヒドが溜まっている状態で、解毒できていないために起こる。アセトアルデヒドには発がん性があり、ADHとALDH酵素の働きが弱い人が飲酒家になると頭頸部・食道の発がんリスクが特に高くなります。

・「おつまみに亜鉛食品」と言われる理由は、ADHは補因子に亜鉛をもつため。

・アルデヒドデヒドロゲナーゼの補酵素にはナイアシンが必要。

・ナイアシンが多いのは、たらこ、魚卵、カツオ、お肉など。

・軸になるのは亜鉛、マグネシウムなどのミネラル、ビタミンB群なので、これらをしっかり補給すること。

■糖質制限はよくない!?

・飲むときには、炭水化物などの糖質を摂った方がよく、糖質制限はよくない。

・日本の研究では、アルコールを飲むときに低糖質食を行った人はアルコール代謝が悪かった。

・糖質をメインに肝機能が働くため、タンパク質だけのエネルギーではエタノールの解毒がうまくいかない。

・ただし、締めのラーメンは太ります。既にアルコールで肝機能が落ちており、血糖値の乱高下が起きやすい状態なので、ラーメンの糖質と脂には要注意です。

■飲まない生き方「ソバーキュリアス」

・ルビー・ウォリントンの作った、Sober(しらふ)とCurious(好奇心が強い)を組み合わせた造語で、お酒を飲める人があえてお酒を飲まない、もしくは少量しか飲まないというライフスタイルや考え方のこと。

・禁酒は「飲みたいのを我慢する」というネガティブな感情を伴うが、ソバーキュリアスは「飲まないほうがクール」などとポジティブな感情で飲まない選択をする考え方。

・メリットに、睡眠の質が良くなる、飲酒に費やしていた時間を自由に使える、金銭的な余裕が生まれる、綺麗になるなどが挙げられている。

・お酒を飲む人は空腹時の胃酸の酸性度が上がりすぎて調子が悪くなったり、それによって腸も悪くなったりする。

アルコールを摂取すると、体内のビタミンやミネラルの排出量が多くなるため、栄養療法だけで対処するのは難しいのが現実です。

アルコールとがん
世界保健機関(WHO)は、飲酒は頭頸部(口腔・咽頭・喉頭)がん・食道がん(扁平上皮がん)・肝臓がん・大腸がん・女性の乳がんの原因となると認定しています。アルコール飲料中のエタノールとその代謝産物のアセトアルデヒドの両者に発がん性があり、少量の飲酒で赤くなる体質の2型アルデヒド脱水素酵素の働きが弱い人では、アセトアルデヒRead More...

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