「野菜由来の硝酸塩の摂取量が多いほど、認知症リスクを低下させる」という報告がありました。
この研究は、オランダのエラスムス大学医療センターによるもので、1990年~2009年の、
認知症のない参加者9543人(平均年齢64歳、女性58%)を対象にした調査で、
総硝酸塩および植物性食品由来の硝酸塩の摂取量が多いほど、50mg/日の増加ごとに認知症リスクが
8%低下しました。
(Am J Clin Nutr. 2023 Aug;118(2):352-359)
一般に硝酸塩を摂取すると、体内で一酸化窒素(NO)の合成が高まり、これにより血管拡張を促し、
さらに血小板凝集(血栓の原因)を阻害することにより、心血管疾患や認知症の発症率を低下させる
ことができます。
以前は、野菜の硝酸塩(硝酸対窒素)は体に悪いとされていましたが、近年では、野菜の硝酸塩は
むしろ健康に寄与するため、積極的に摂取したほうが良いことがさまざまな研究でわかっています。
それは加工肉に添加される「亜硝酸塩」は悪玉なのに、「硝酸塩」は大丈夫なのか?ということです。
たしかに、似ている物質どうしですが、厳密に言うと、異なります。
亜硝酸塩のほうがより毒性が強く、さらに、こちらは動物性食品の二級アミンと反応することで
発がん性物質ニトロソアミンになりますが、硝酸塩はそうなりません。
また、硝酸(しょうさん)とシュウ酸は呼び方が似ていますが、これらも、まったく異なる物質で、
シュウ酸のほうは控えにする必要があります。
※摂り過ぎは結石の原因となってしまうからです。
いずれにしても、野菜を摂るメリットというものは、ビタミン、ミネラル、ポリフェノール、
カロテノイド、そして食物繊維など以外に、硝酸塩もあることを知っておきましょう。
特に、血管内で一酸化窒素(NO)を増やしやすい食材や栄養素には、
ほうれん草、ビーツ、ルッコラ、ケール、キャベツ、カカオ(チョコレート)、ニンニク、柑橘類、
みかんの皮、セロリ、アーモンド、ザクロジュース、スイカ(シトルリン)、アルギニン、
ビタミンC、CoQ10、などがあります。
また、有酸素運動も一酸化窒素(NO)を増やします。
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