オーストリアのウィーン大学による研究で、「砂糖の摂取は、内毒素を増加させる可能性がある」
というものです。(Nutrients 2023, 15(18), 4038)
内毒素とは、エンドトキシンとも呼ばれ、チフス菌・サルモネラ菌などのグラム陰性細菌の
細胞壁を構成するリポ多糖(LPS)のことで、毒素成分になります。
一般に、内毒素が増えるのは、悪玉菌がたくさんいる場合や腸のバリア機能が低下したときです。
この研究は、もともと人工甘味料スクラロースの摂取が内毒素をどれくらい増やすのかを
確認するために、砂糖(スクロース)の摂取も同時に比較し行われたものでした。
※人工甘味料スクラロースと砂糖のスクロースは別ものです。
11人の被験者による、甘味料(スクラロースか砂糖か)摂取におけるRCT(二重盲検)の結果、
・人工甘味料スクラロースはエンドトキシンの増加がみられなかった。
・砂糖スクロースはエンドトキシンの大幅な増加がみられた。
というものになりました。
ただし、この研究で使用された砂糖は砂糖入り飲料(1リットルあたり110gの砂糖)
で、砂糖の量が多いとおもわれるかもしれません。
しかし、疫学調査によると、世界中の多くの地域で、砂糖入り飲料に由来する砂糖の平均1日摂取量は
100~300gの範囲のため、(Nat Rev Endocrinol . 2022 Apr;18(4):205-218)
妥当な摂取量である、と研究者らは言っています。
過去の研究を見ても、高フルクトース・コーンシロップは、やはり細菌のエンドトキシンレベルの
増加を引き起こしています。
(Mol Nutr Food Res. 2019 Mar;63(6):e1800868)
(Int J Hepatol . 2014;2014:560620. doi: 10.1155/2014/560620)
別の研究でも、4か月間ネズミにスクロース(砂糖)を多く含む高脂肪食を与えると、
血中のエンドトキシン レベルが増加しています。(Gut Microbes. 2020 Nov 9;12(1):1801301)
人工甘味料スクラロースについては、エンドトキシンレベルの増加は見られませんでしたが、
以前のヒトの臨床研究では、スクラロースを数週間にわたって定期的に摂取すると、
耐糖能が損なわれたり(血糖コントロールの悪化)、動物実験では、スクラロースの摂取が免疫を
低下させたという報告もあります。
(Cell. 2022 Sep 1;185(18):3307-3328.e19)
(Nature. 2023 Mar;615(7953):705-711)
やはり人工甘味料スクラロースの習慣的な摂取も気を付けるべきです。
砂糖のこうしたエビデンスはたくさんあり、世界ではその摂取に警告がされています。
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