ベジタリアン食のデメリット

2022/8/11、「ベジタリアンの女性は、通常の人に比べて、股関節骨折のリスクが33%高い。」

ということが発表されました。(BMC Med. 2022 Aug 11;20(1):275)

これは、イギリスのリーズ大学による研究で、35~69歳の女性26,318人を、

・よく肉を食べる人
・ときどき肉を食べる人
・ペスカタリアン(魚は食べるが肉は食べない)
・ベジタリアン(肉も魚も食べない)

にグループ分けをし、約20年間観察したところ、交絡因子(喫煙状況、年齢など)を調整後、

ベジタリアンのグループのみ、股関節骨折リスクが33%も高くなりました。

(他のグループは特に問題ありませんでした。)

菜食主義者と骨折の関係について今回の新しい研究が初めてというわけではありません。

過去にも、数多く調査されています。

たとえば、アメリカのマサチューセッツ大学の研究では、

ベジタリアンの中でも、特にビーガンは、骨密度が低下し、骨折のリスクが高くなる

ということが発表されています。(Am J Clin Nutr. 2014 Jul;100 Suppl 1:329S-35S)

スペインにおけるメタ分析(計37,134人)でも、バランス食の人と比較して、

ベジタリアンとビーガンは大腿骨頸部(だいたいこつけいぶ)と腰椎(ようつい)の

骨密度が低く、ビーガンも骨折率が高かったことを発表しています。

(Nutr Rev. 2019 Jan 1;77(1):1-18)

他にも、いくつかの研究で、ベジタリアンとビーガンにおける

骨折リスクの高さが報告されています。

(BMC Med. 2020 Nov 23;18(1):353)
(Am J Clin Nutr. 2021 Aug 2;114(2):488-495)

さて、人気YouTuber、ヨヴァナさんをご存じでしょうか?

インスタグラマーでもある、彼女は完全なヴィーガンで有名だったのですが、

魚を食べていたことが発覚してしまい、SNS上では大炎上したのです。

ヨヴァナさんは、6年間完全なビーガンを続けていたのですが、徐々に体調に問題が起こり、

具体的には

・生理が止まる
・ホルモン値が高齢と同様のの数値になる
・つねに貧血
・カンジダ発症
・SIBO(小腸内細菌異常増殖)発症
・甲状腺ホルモンの低下

などを患っていたそうです。

これに主治医は警鐘を鳴らし、魚、肉、卵を食べることを、勧めたそうです。

ところが、ヨヴァナさんはビーガンをネタに自身のコンテンツの有料配信などを行っていたため、

本当のことが言えず、結果ばれてしまい、炎上したということのようです。

ビーガンで、まず問題になるのが、ビタミンB12です。

ビタミンB12は基本的に動物性食品にしか含まれません。

植物性食品にはほとんど含まないのですが、海苔など一部の食品には含みます。

ところが、研究では、植物由来のビタミンB12ばかりを摂ることは、

動物由来のB12とやや種類が異なり、むしろ問題を引き起こす可能性がある、

ということが報告されています。

ちょっと長くなりましたので、これについては、また別記事で書きますね。

海外でベジタリアンやビーガン食が流行しているのは、

・動物愛護の視点
・家畜生産による環境負荷
・肉食過多によるガンや糖尿病の発症の予防

など、さまざまな理由があります。

年齢や個体差がありますが、私も、ベジタリアン食やビーガン食はけっこう評価しています。

確かにヘルシーで低カロリー、そして何より美味しい料理が多い。

とはいえ、いっさい動物性食品を抜くというのは、やはりお勧めできません。

自身の現在の状況に合わせ、バランスの良い食事をしていく、これが大事です。

治療食や短期的実験などを除き、極端な食事体系は控えるのが良いと思います。

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