その不調の原因、実は小麦のせいかも・・・。
ということは、実際によくあります。本当によくあるんです!
カウンセリングでも、「まず小麦食品を2週間抜いてみてください」これを実施出来たら、
2週間後、いままで悩んでいた不調が無くなることも少なくありません。
そして、実験的に、2週間ぶりに小麦を再開してもらえば、
不調がやや再発してしまうことも・・・。
これは、いっけん、小麦アレルギー?と思うかもしれませんが、
一般の(即時型)アレルギー検査しても小麦はひっかからず、
実は小麦に含まれるグルテンが原因だったということがあるのです。
アメリカやヨーロッパなどの海外の食品店では「グルテンフリー」という言葉が
よく見つかります。
これは、グルテンを含まない食品を指します。そして、そういう食事体系のことを
グルテンフリー・ダイエットというわけです。
パン、パスタ、マカロニ、ビスケット、洋菓子、スナック菓子、うどん、そば(十割以外)、団子、一般のカレールー、米粉パン(グルテン含有の場合あり)、餃子・しゅうまい、揚げ物の衣など、
現代食では、小麦が欠かせないものとなりました。
しかし、戦前まで日本はそこまで小麦を多く消費しておらず、戦後のアメリカによる穀物戦略の一つ
として、小麦配給に始まり、小麦の輸入が強化されるようになったのです。
当時は、小麦、油、牛乳の使い方をレクチャーするキッチンカーまで全国で広がったほどです。
さて、グルテンとはそもそもなんでしょう?
グルテンとは、「グリアジン」と「グルテニン」のそれぞれのタンパク質が
つながったものであり、これらを総称してグルテンと呼んでいるため、グルテンという構造そのものが
存在するわけではありません。
一般的なグルテンの悪影響というものは、そのほとんどが「グリアジン」によるものです。
グリアジンとは、べとべとする粘性と伸ばすことができる伸展性のあるタンパク質です。
こういうタンパク質をプロラミンといいます。
プロラミンには、小麦のグリアジンのほか、大麦のホルデイン、オート麦のアベニン、ライ麦の
セカリン、トウモロコシのゼインなどがあります。
ただし、一般に影響があるのは、圧倒して小麦のグリアジンです。
しかし、FDA(食品医薬品局)やCODEX委員会ではグリアジン(グルテン)だけでなく、
ホルデインも、セカリンも、アベニンもほかのプロラミンも、除去または含有していないものを
グルテンフリー食品としています。
また、国にもよりますが、米国、EU、カナダでは、食品においてグルテンが20ppm未満であれば、
「グルテンフリー」のラベルを付けることができます。
※一部の国では、厳格に3ppm未満にしているところもあり。
しかし、日本では「グルテンフリー」の記載の基準はありません。
また、2017年にグルテン含有量「1ppm以下」の米粉を「ノングルテン」と表示する
「米粉製品の普及のための表示に関するガイドライン」を策定・公表しています。
厳しい基準の設定もあるようですが、実際にはあやふやにグルテンフリーという言葉が
使われていることがあります。海外でグルテンフリー食品の需要が高まったのは、「セリアック病」の
患者が増えているからです。
セリアック病は欧米人の約1%が罹患する自己免疫疾患でプロラミン(特にグリアジン)に反応し、
腸の透過性(リーキーガット)、そして小腸の絨毛の萎縮と破壊、粘膜炎症などを引き起こします。
(United European Gastroenterol J. 2015 Apr;3(2):106-20)
最近では、セリアック病でなくとも、小麦グルテンに過敏に反応してしまう、非セリアック・グルテン
過敏症の人も増えています。NCGS(非セリアック・グルテン過敏症)と呼ばれています。
NCGSはセリアック病でも小麦アレルギーでもなく、小麦食品やグルテンに対して不快な症状があらわ
れることです。
イギリス人の約13%が罹患しているという統計があります。
NCGSはセリアック病の症状と似ており、下痢、胃痛、膨満感、上腹部の痛み、便秘、不安感、
鼻炎、疲労感、湿疹、発疹、貧血、うつ、頭痛などの症状があります。
グルテンの摂取は抗炎症に働くTレグ細胞を減少させ、自己免疫疾患に働く炎症性のTh17細胞を
増加させます。(PLos One. 2012;7(3):e33315)
では、ここでグルテンフリーダイエット(GFD)の食事結果を見ていきましょう。
スウェーデン1,031人によるGFD実施後のアンケートによると、関節痛以外の症状(腹痛、膨満感、
疲労、うつ、頭痛、胸焼け、発疹、抜け毛など)がほぼ全て緩和または改善しましたた。
(BMC Gastroenterol. 2012; 12: 125)
26人のグルテン感受性患者、42人のセリアック病患者、39人の消化不良対照患者に、GFDを実施する
と、グルテン過敏性による症状は数日以内に無くなったのです。
(BMC Med. 2011 Mar 9;9:23)
さて、こうしたグルテンの闇ですが、これは誰もが避けるべきでしょうか?確かに極力避けるべき食品
ではありますが、まずは2週間ほどグルテンフリーの食事を楽しんでみて、症状を確認してみましょ
う。
調子が良くなったり、体が軽くなったりすれば、不調は小麦から来ていたのかもしれません。
そして、2週間ぶりに小麦またはグルテンを再開し、不調が再発すれば、
ほぼ間違いなく小麦グルテンが原因かもしれません。ぜひ、お試しください。
最近では、グルテンフリーの焼き菓子、パン、などのグルテンフリー食品がここ日本でも少しずつ
で始めています。
ぜひ、おやつに困っている方がいれば、お試しくださいね!
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