赤しそは、梅干や紫蘇ジュースを作らなくても、普通にそのまま食べて欲しい食材です。
まず、しその漢字は「紫蘇」と書きます。中国で食中毒で死にかけた人に「紫の葉っぱ」を食べさせたところ、蘇ったために、「紫蘇」と呼ぶようになったことが由来です。つまり紫蘇は、赤い紫蘇を指します。現在で紫蘇というと緑色の紫蘇(青じそ、大葉)を指しますが、本来は紫色の紫蘇(赤紫蘇)です。昔は、赤紫蘇に対して、青じそのことを「白蘇」(えごま)と呼んでました。
赤紫蘇も青紫蘇も(大葉)も大きく栄養価は変わりません。(100gあたり)
カリウム500g
マグネシウム70mg
亜鉛 1.3mg
ビタミンK 690μg
葉酸 110μg
パントテン酸 1.0mg
ビタミン、ミネラルが高濃度に含まれています。青紫蘇には、βカロテンが11,000μgと、野菜の中では、圧倒してナンバーワンです!赤紫蘇には、このβカロテンだけが青しそより少ないですが、その分、アントシアニンというフラボノイドの一種が多く含まれています。赤紫蘇100gあたりアントシアニンが420mgも含まれています。アントシアニンは、強力な抗酸化作用を持ち紫色の色素そのものです。アントシアニンは、水溶性成分のため、すぐに色が溶け出します。特に「酸」の状況下で溶け出しやすいので、梅干の梅酢に赤紫蘇をつけると、すぐにアントシアニンの赤色が梅に染み込みます。梅干に赤紫蘇を入れるのには、こうした着色だけでなく、赤紫蘇の解毒作用と梅干の殺菌作用の相乗効果が狙えるために、梅と紫蘇の組み合わせは最強なのです。
紫蘇は、昔から民間療法において、解熱、鎮痛、鎮静、咳、喘息、便秘、嘔吐、食欲不振などの治療に使用されてきました。日本でも古くは縄文時代から利用していたようで、新潟では、紫蘇の種子が2500年前の土器とともに出土し、青森県三内丸山遺跡(縄文前〜中期)から紫蘇の種子が出土しています。そして、奈良時代には作物として栽培されていたようです。また、漢方にも使用され、神秘湯(しんぴとう)、半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)、香蘇散(こうそさん)等が有名です。
紫蘇の効果として研究発表されている薬効は・・・
・抗炎症作用
・抗がん作用
・解毒効果
・抗酸化作用
・抗菌作用
・抗真菌作用
・抗アレルギー効果
紫蘇は、独特な香りがしますが、あの香りがまさに健康成分です。紫蘇の精油中に含まれる香気成分「ペリラアルデヒド」には、防腐効果や胃液分泌促進がありますので、食前に紫蘇付きの梅干しを食べることは、消化促進や食中毒対策に良いのです。ペリアルデヒドは、他にも抗うつ作用、抗がん作用、舌ガン・肺線がんの制御、抗菌作用などが認められています。
続いて、薬効成分「ロスマリン酸」です。ロスマリン酸は、ローズマリーやレモンバーム、そしてこの紫蘇などのハーブによく含まれており、体内で「正常な免疫機能」を促進します。ロスマリン酸は、他にも、抗アレルギー作用、抗炎症作用、抗うつ作用、抗がん作用、抗酸化作用などが報告されています。紫蘇には、他にも抗がん作用、結腸がん・乳腺がんの制御などが認められている「ペリリルアルコール」や、抗がん作用、結腸がん・乳腺がん制御などが認められている「ペリリン酸」なども含まれている最強の食材です。
こんなに栄養価が高く、薬効性のある赤紫蘇ですが、梅干、紫蘇ジュース(シロップ)はもちろんのこと、さまざまな食べ方があります。例えば、「ゆかり」、きゅうりとも相性が良いです。めんどくさがりには、豚肉を炒めるときに赤紫蘇を入れるとさっぱりしていて美味しいです。サラダにしてもOKで、6月の赤紫蘇が1番美味しく、早ければ早いほど良いです。6月末になる赤紫蘇は、少しスジが出てやや硬くなってしまうので、6月上旬がおすすめです。そして、赤紫蘇は、土壌栽培が多いので、葉っぱの部分に小さい虫がたまについていることがありますから、葉っぱを一枚一枚良く洗って下さい。
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