昔から肝臓に良いと言われてきたシジミ、日本だけでなく、台湾ではシジミ醤油漬け、韓国・釜山
では、シジミ専門店(シジミ通り)がたくさんあります。
*台湾では、母乳の出が良いと言われている。
昔から、健康効果として、肝機能保護、黄疸の予防効果、目に良い、二日酔いに良い等があげられて
います。
しじみは、肝機能を助ける食品です。飲酒後や、疲労がある時に温かいジジミ汁を飲むと体調がよく
なります。これは、ジジミに含まれる「オルニチン」の効果です。オルニチンとは、アミノ酸の一種で
体内では、アルギニンから合成され、主に肝臓内で重要な役割を果たしています。オルニチンは、
こうして生体内でタンパク質を構成するアミノ酸ではなく、単独で遊離した状態で働きます。
オルニチンを多く含む食品は、シジミがその含有量を圧倒しています。
食品100gあたり
・シジミエキス 160mg
・シジミ 10.7mg
・キハダマグロ 1.9〜7.2mg
・チーズ 0.76〜8.47mg
・ヒラメ 0.6mg〜4.2mg
シジミがすごいのは、オルニチンの他に、ビタミン、ミネラルも豊富であることです。たんぱく質、
タウリン、アラニンも豊富で、カルシウム240mg、鉄8.3mg、亜鉛2.3mg、マンガン2.78mg、
ビタミンE1.7mg、ビタミンB2は0.44mg、ナイアシン1.5mg、ビタミンB12が68.4μgと多いです。
【オルニチンの効果について】
・アンモニア解毒
・アルコール解毒
・美肌効果
・疲労改善効果
・抗ストレス効果
・創傷治癒
・筋肉の合成
・睡眠、目覚めが良くなる
・成長ホルモンの分泌
・免疫賦活効果
・超粘膜の保護
・低栄養の改善
①アンモニア解毒
体内最大の有害廃棄物は、有害金属でも放射性物質でもなく「アンモニア」です。
アンモニアは、エネルギー産生を阻害して、疲労のもとや病気の原因になると考えれられています。
このアンモニア解毒が健康でいられるか、元気でいられるか、長寿かを左右するポイントの
一つとなるのです。
「アンモニア解毒→エネルギー産生をスムーズにする」という流れです。
このアンモニア解毒を促すのが、体内にある「尿素回路」と呼ばれるもので、これは、肝臓において
有害なアンモニアを無害な尿素に変えて解毒を行うしくみのことです。
この自然の回路の中に、オルニチンは代謝物として存在しているのですが、外からオルニチンを摂るこ
とによって、この回路が活性化され、尿素の合成を促すことがわかっています。
つまり、オルニチンを口から摂取すると、まず腸で吸収され、その後、肝臓や腎臓、筋肉などに
運ばれます。肝臓にたどり着くと、尿素回路というアンモニアを解毒する経路で働きアンモニアの
解毒を促進します。
②アルコール解毒
アルコールを摂取すると、体内でNADHという物質が増えます。この「NADH」は、「NAD+」
という物質が満腹状態になったものと考えてください。
一般に、NAD+/NADH比率が高いほうが健康体なのです。ところが、アルコール飲用により、
NADHが増え、それが理由で糖新生が阻害され、ケトン体の合成も阻害されると、脳疲労を起こす
のです。しかし、ここでオルニチンを摂取すれば、NADHの消費が進み、NAD+が増え、
結果、脳疲労が改善されます。
③疲労改善効果
日本の研究では、45~65歳の14名の二重盲検では、オルニチン800mgを摂取したグループは、
疲労感や日常生活の体調の改善が見られています。(小松、食品と開発. 40(11): 62-4, 2005)
④抗ストレス効果
同じく日本の研究で、男女38名の二重盲検で、オルニチン2400mgを摂取体グループは、
ストレスの指標である唾液コルチゾールの上昇を抑えることができ、メンタルストレスが軽減され、
さらに翌朝の疲労感も軽減されました。(久留米大学 津田彰らの研究)
⑤睡眠の改善
疲れ気味のオフィスワーカー52名の二重盲検では、オルニチン400mgを摂取したグループは、
睡眠や気分に関する主観的評価で有意な改善が認められました。
40歳以上の被験者においては、ストレスマーカーによる客観的評価においても有意な改善が
確認されました。(久留米大学 津田彰らの研究)
⑥美肌効果
最後に美肌効果についても触れておきましょう。動物実験では、オルニチンの摂取によって、
創傷治癒やコラーゲン合成が増強されたと報告されています。
(J Surg Res. 2002 Aug;106(2):299-302)
その機序として、コラーゲンのおもな構成成分であるプロリンというアミノ酸は、オルニチンが
代謝経路を通じて、簡単に変換しうるので、オルニチン投与によりコラーゲンが増えた
とみられています。(J Surg Res. 1993 Jul;55(1):97-102)
東京大学の研究でも、オルニチン摂取によって、皮膚のコラーゲンmRNAの発現量が
上昇したということが報告されています。(亀井ら,2007年度日本農芸化学大会での発表)
そして、食べ方です。
研究では、生きたシジミをそのまま冷凍すると、オルニチンが8倍増えることがわかりました。
(青森県産業技術センター・内沢ら)なぜ増えたかというと、シジミにはオルニチンを含む
ペプチドがあり、冷凍すると、このペプチドが分解されて、オルニチンが抽出されるようです。
実は、オルニチンを含むペプチドの存在そのものがとても珍しいようで、
シジミ以外で、冷凍によりペプチドが分解されるという例はこれまでに報告がないそうです。
ただし、凍らせる前に必ず砂抜きをしてください。
シジミが死んでしまっては、砂抜きができなくなるからです。
死んだシジミを冷凍してもオルニチンは増えません。冷凍したシジミを使う時は、
解凍せずに、沸騰したお湯にそのまま入れてください。いったん解凍してしまうと、
うま味成分が逃げてしまいます。なので、冷凍のままお湯に入れて、シジミ汁にしてくださいね。
冷凍シジミも最近はよく販売されています。すでに砂抜きされていますので、
そのままシジミ汁に使えます。
【冷凍シジミの作り方】
①シジミをこわれないように注意しながら、流水で洗う。
②容器にシジミを入れ、約1%の塩を入れる。
③そして、新聞紙等で光をさえぎって暗くしておくとシジミは落ち着く。
④室温下で、新聞紙をかけて3時間程度砂を吐かせる。冬は5時間ほど。
⑤砂抜きしたシジミをざるにあけ、軽く流水で洗う。
⑥シジミを小分けして、新聞紙で包み、ジプロックに入れ、冷凍保存する。
⑦数か月以内には食べる。
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