カボチャっていうと、「βカロテンが多い!」という印象ですが、それだけじゃないんです。
実はとっても、栄養価の高い食材なんです。たとえば、ビタミンEが4.9mgも入っています。
これは、そうとうな量です。野菜の中でもベスト3に入る高含有量ですね。ビタミンCも42mgと多いで
す。これは、オレンジのビタミンC量よりも多いですね。そして、冒頭のβカロテンは4,000μgと桁違
い!βカロテンは、活性酸素を消去する、抗酸化活性が強いことで有名です。
また、一部がビタミンAに変換されます。ビタミンAの量に変換すると約1,100IUで、これは栄養摂取効
率が良いです。実際に、昨年(2021年)発表された研究では、1日あたり50gのカボチャは、生後6〜
24か月の子どもの、ビタミンAの推奨摂取量の100%を満たすということが報告されています。
(Crit Rev Food Sci Nutr. 2021 Mar 8;1-10)
まさに、ビタミンA、C、Eと、ビタミンACEがそろっておりトップクラスの抗酸化の食材です。
βカロテン以外のカロテノイドも多く、ルテイン、ゼアキサンチンも豊富なのです。
さらに、カボチャはミネラルも豊富で、カリウムが450mg、マグネシウム25mgとミネラル補給として
も使えます。(ウリ科の野菜はやはりミネラルリッチです)
リラックス成分であるGABA(γ-アミノ酪酸)も多く入っています。
ここで、カボチャの医学的効果として報告されているものに、
・抗酸化
・糖尿病の予防効果
・高血糖の抑制(長期的に見て)
・血圧の抑制作用
・高脂血症の予防
などがあります。
カボチャの種(パンプキン・シード)にいたっては、
・抗ガン作用
・抗炎症作用
・前立腺肥大の抑制
も報告されています。
実際に、研究が多いのは、果肉の部分の薬効性よりも種の部分です。カボチャ(南瓜)は、ウリ科の
植物であり原産は南北アメリカ大陸で、世界中で食べられる、緑黄色野菜の一つです。日本で栽培され
ているものは、在来の和種と、西洋種があります。和種はニホンカボチャ(モスカター種)で、
メキシコのマヤ文明、アステカ文明の主要作物であったそうで、ヨーロッパを経て、16世紀に渡来して
います。西洋種のセイヨウカボチャ(マキシマ種)は、アンデスの高原で栽培されていたもので、19世
紀に渡来しています。私は実は和種のほうが好きですが、栄養価が高いのは、やはり西洋種です。
果肉のカラーがより黄色で濃いものを選べばβカロテンの量が多い証拠です。
βカロテンは、粘膜などの細胞を強化して免疫力を高める働きもあります。
抗酸化活性も強いので、老化を遅らせることにも期待できます。2016年の中国の研究によると、13件
の研究の分析では、βカロテンの摂取量が多い人は胃がんのリスクが大幅に低いということがわかりま
した。(Clin Nutr. 2016 Feb;35(1):109-116)
論文69件をメタ分析した2018年の研究では、β-カロテンがの摂取量が多い人は、摂取量が少ない人に
比べて、心臓病、脳卒中などの原因で死亡リスクが8~19%も低くなることが分かっています。
22件の研究論文の分析で、βカロテンの摂取量が多い人は、失明の一般的な原因である「白内障」の
リスクが大幅に下がるということを報告しています。(Nutrition. 2014 Oct;30(10):1113-21)
多くの研究で、βカロテンやルテイン、ゼアキサンチンなどのカロテノイドの摂取が多い人は、食道
がん、膵臓がん、乳がんなどのリスクが下がることが報告されています。
(Asian Pac J Cancer Prev. 2013;14(3):1911-8)(Sci Rep. 2016 Dec 12;6:38936.)
(Breast Cancer Res Treat. 2012 Jan;131(1):239-53)
カボチャはその食味からご飯のおかずにも、間食のおやつにもなる栄養価の高い食材です。
ぜひ、普段の食卓に並べてくださいね。今から秋ごろまでがちょうど旬です。
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