貧血の原因はおもに4つあります。
①赤血球(ヘモグロビン)の減少→鉄やタンパク質の不足
②赤血球が大きい→B12不足や葉酸不足など
③溶血性の貧血→抗体異常の病気、酸化ストレスや炎症の過剰
④再生不良性貧血
今回は、おもに①や②についてお話をします。
赤血球はヘモグロビンという赤い色素を含んでいます。このヘモグロビンがあるため、血液全体が
赤く見えるのです。赤血球のおもな働きは、抹消の組織に「酸素」を運ぶことです。
これによって、細胞でエネルギーを作るミトコンドリアに届いて十分なエネルギーが供給される
ようになります。酸素は赤血球のヘモグロビンと結合することにより、運搬できます。
一般に貧血とは、このヘモグロビンの量が減少した状態をさします。
血液検査による診断では、
- 赤血球数
- ヘモグロビン値
- ヘマトクリット値
をみます。特にヘモグロビンです。WHO(世界保健機関)は、正常ヘモグロビン値を
成人男性は13g/dL以上、成人女性は12g/dL以上(妊婦を除く)としています。
しかし、実際に、元気の良い人は、やはり、どんなに低くても12.5以上あります。
栄養学的な理想値は13以上になります。また、ヘモグロビンが正常だからといって
鉄が足りているとは限りません。「鉄貯蔵」をあらわす最も有効な指標は、フェリチン値だからです。
例えるなら、ヘモグロビンが、お財布に入っているお金であり、フェリチンは、銀行に預金したお金
です。だから、いくらお財布にお金が入っていても、銀行預金がすくなければ、鉄不足となります。
もし、お医者さんがフェリチン値を測ってくれるのなら、理想値として、30以上を目指しましょう。
どんなに低くても20以上は欲しいところです。しかし、一桁台という女性も少なくありません。
ただし、高すぎても良くありません。フェリチン高値(150以上)は炎症が多いときになります。
その場合、まずは下げるようにしていく必要があります。
貧血になってしまう理由はさまざまあります。まずは朝食を食べないことです。
特に若い女性は朝食を食べない人が多いです。
朝食は鉄を吸収する、最適な時間帯です。さらに、食事回数が減れば、当然、鉄の摂取も減ります。
ほかに、外食が多かったり、加工食品に頼りすぎていると、鉄分の摂取量が低くなります。
だから、できるだけ手作りをし、朝食、昼食、夕食それぞれに毎回鉄分の多い食材をどれか一つでも
入れていく癖をつけることです。さらに、生理のある女性では、毎月出血があります。
これにより、体内の鉄がいくらか減るわけですが、この出血量が多くなれば、鉄が不足しやすくなる
わけです。異常な出血量は、食事や生活習慣を改善することで解決していきます。
鉄分の多い食品は、全粒穀物(玄米、オートミール、雑穀など)、小豆、赤肉、レバー、貝類、
海藻類、葉物野菜などがありますが、これだけでは鉄欠乏が解消できないときは、鉄のサプリメントや
鉄剤で補給します。鉄のサプリでは、私はキレート鉄をおすすめしています。
重度の鉄欠乏の人にとっては、ヘム鉄よりもキレート鉄のほうが吸収率が良いです。
しかし、鉄不足や鉄欠乏の人がなんでもかんでもすぐに鉄サプリを摂ってよいか?
というと、そうでないこともあります。それは胃腸環境によります。
食事において低胃酸であれば、鉄の吸収が下がります。腸内環境が悪かったり、腸に炎症があれば、
鉄が吸収できない仕組みになっています。そうなると、鉄はカラダにとって栄養素ではなく、
組織を傷つけるラジカルとなる可能性が高くなります。
鉄は実に酸化ストレスや炎症を引き起こしやすいミネラルでもあります。
以前の研究で、腸内環境が悪い人や、何かしらの細菌感染を持っている鉄欠乏の人に、
鉄剤を投与すると、かえって炎症を招き、悪化したケースが医学論文などで報告されています。
論文だけでなく、そういう方はたまに見かけます。鉄の補給においては、必ず胃腸のケアも同時に
並行しなければなりません。可能であれば、先にする必要があります。
こうして、胃腸機能を高めた上では、鉄の吸収がよりよくなりますので、回復も早いでしょうが、
胃腸が弱いと、鉄の吸収があまりされないどころか、かえって、体の炎症を助長する可能性さえ
あります。腸内環境を整えるには、発酵食品(プロバイオティクス)、食物繊維、そしてグルタミン
などの成分が必要です。
鉄の吸収を高めるものとして、
- ビタミンC
- ビタミンA
- βカロテン
- タンパク質
などが報告されています。
特にビタミンCが重要です。ビタミンCは非ヘム鉄の吸収をアップさせるだけでなく、ヘム鉄の代謝にも
関わって、体内鉄の維持を促進します。
ある報告では、フェリチンはビタミンCなしに合成されません。しっかり、ビタミンCも摂りましょう。
最後にレバーについてですが、日本人女性の多くがレバーが食べられないようです。
それはレバー特有の「臭み」にあるようです。
その対策として、まず、レバーは、新鮮なものを選びましょう。
新鮮なレバーとは、鮮やかな赤褐色で弾力に富みます。包装パックに溜まった血の色は鮮紅色のもの
が新鮮です。鮮度が落ちると黒ずんだ色になります。
下ごしらえとして、水か、3%程度の塩水に浸し、水が濁らなくなるまで水を替えつつ洗い、
こうして血抜きをします。時間があるのなら、流水に30分ぐらいさらします。
なお、鶏レバーは、洗う前に、黄色の脂肪や、青黄色の胆汁を切り捨てます。
牛レバーや豚レバーは、洗った後、薄皮をむくと、臭みが減ります。
また、下味に、醤油、酒、ショウガ、ニンニクを付けたり、牛乳やワインを20~30分程度漬けて
下味をつけましょう。
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