すい臓はどういう働きを持った臓器でしょう?
かんたんに言うと、
①消化酵素を分泌する
②糖質を調整するホルモンを分泌する
この2点↑↑を押さえておいてくださいね。すい臓は、胃の裏側、背骨の前側に位置しています。
すい臓は、食べたものを消化し、糖を細胞に取り込んだり、血糖を調整したりするという役割を
しています。具体的には、消化酵素として、糖質を分解する「アミラーゼ」、タンパク質を分解する
「プロテアーゼ」、脂肪を分解する「リパーゼ」などがあります。
すい臓から分泌するホルモンとして、糖の代謝に必要なインスリン、血糖値を維持するグルカゴン、
ほかのホルモンを調整するソマトスタチンなどがあります。
さて、このような重要な臓器であるすい臓ですが、ダメージを受けてしまうと、深刻な病状になって
しまいます。多いのが、すい炎やすい臓がんです。これらはなかなか完治や回復が難しいのです。
特に、すい臓がんは初期には症状がほとんどありません。そのため、気づいたときにはすでに遅し、
生存率もとても低いです。よって、普段の食生活から予防していく必要があります。
でも、すい臓は食生活さえ気を付ければ、予防はそう難しくない臓器なのです。
だから、今回は、この予防法をしっかり押さえておいてください。
①すい臓を傷めつける3つのもの
すい臓にダメージを与えやすいもの、それは・・・
- アルコール
- 高血糖
- 胆石
他にもありますが、この3つは特に知っておいてください。すい臓がんの原因の多くが
元をたどれば、アルコールです。アルコールをなめてはいけません。
嗜好品と思われがちですが、すい臓にとっては何らメリットがありません。
続いて高血糖です。すい臓は、食事の時に血糖値が上がると、それをいち早く探知し、
インスリンという血糖値を下げるホルモンを分泌します。
しかし、極端な高血糖が日々続くと、この過剰な糖質によってすい臓はダメージを受け、
ついには炎症が持続します。これにともない、膵炎などの発症も考えられます。
また、胆石の症状を持っている人も、これによりすい臓はダメージを受けます。
すぐに胆石を治療していく必要があります。以上、この3つを予防するだけでも、
すい臓の健康は維持できます。ただし、本当に意味ですい臓を元気にするには、
栄養素も必要です。その栄養素とはどのようなものがあるでしょう?
②すい臓を元気にする栄養素とは?
特に下記の5つを押さえておいてくださいね。。
- マグネシウム
- ビタミンC
- 酵素を多く含む食材
- グルタミン
- フラボノイド
まずは、これだけ押さえれば十分です。
「マグネシウム」は、すい臓を守るミネラルです。実にすい臓の働きに深く関わっています。
2014年のドイツの研究でも、マグネシウム不足にした動物は、すぐに「すい炎」を発症することが
わかっています。
また、すい炎を患った動物にマグネシウムを補給すると、その症状が軽減することもわかりました。
2015年の「ブリティッシュジャーナルオブキャンサー」という医学誌に掲載された発表では、
「マグネシウムはすい臓がんを予防する」ということが報告されています。
これはワシントン州の66,000人以上の調査で、マグネシウムの摂取量が正常にある人は、
マグネシウム摂取量が少ない人に比べて、膵臓がんの発症リスクが圧倒的に低かったのです。
逆に、マグネシウムの摂取量が少ない人は、膵臓がんの発症リスクが76%増加しました。
これ、本当にやばいです。マグネシウムだけでここまで予防できるのなら、
積極的に摂ったほうがいいのです。続いて「ビタミンC」です。
実は、膵臓はビタミンCを高濃度に維持します。脳下垂体や副腎もそうなのですが、ホルモンを分泌
する臓器には、ビタミンCを多く必要とするため、たくさんため込んでおくのです。
だから、ビタミンCの摂取量が少ないと、すい臓が疲弊してしまい、炎症の原因にもなります。
ビタミンC食品は、アセロラ、グアバ、赤ピーマン、黄ピーマン、キウイフルーツ(黄色)、菜の花、
パセリ、ブロッコリー、芽キャベツ、レモン、ゴーヤ、焼きのり、レッドキャベツ、などです。
ここで、酵素を多く含む食材を見直してみましょう。
酵素を多く含む食品は、やはり消化サポートの機能があるということが判明しています。
たとえば、すい臓の消化酵素が正常に分泌されているかどうかは、総合便検査(CSA)でエラスターゼ
という項目を見ればわかるのですが、これが低いと、消化酵素の分泌が不十分となります。
2014年のドイツの研究では、便検査でエラスターゼの低い、つまり、消化酵素分泌の弱い人に、
消化酵素サプリメントを補給したところ、食事中の消化において、満足度が上がったことを報告
しています。
消化酵素サプリメントは、私は、(入手しやすさの上で)Enzymedica社のDigestサプリメントを
よくお勧めしています。
しかし、消化酵素サプリメントに頼らなくても、食材から酵素のサポートの恩恵を受けることも
できます。
たとえば、「大根」にはアミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼなどの消化酵素が含まれています。
日本は古くから、大根おろしを食べる習慣がありますが、これは農耕民族特有の消化の弱さを
サポートする知恵だったのでしょう。
「キャベツ」には、デンプンを分解するのを助けるジアスターゼが含まれています。
ジアスターゼには、ダイコンにも含まれていますが、胃もたれや胸やけなどにも効果があります。
ほか、「タマネギ」のプロテアーゼ、「レタス」のプロテアーゼ、「パイナップル」のタンパク質
分解酵素「ブロメリン(ブロメライン、プロメリン)」、「キウイ」のタンパク質分解酵素
「アクチニジン」などがあります。そして、発酵食品(味噌や糀食品)やプロバイオティクスも
酵素の宝庫です。昔の人が食生活でやっていることは、間違いがないものが多いですね。
続いて、「グルタミン」。
グルタミンは、すい臓の修復作用があることがわかっています。
腸とグルタミンを参考にしてください↓
そして、「フラボノイド」です。
アメリカとフィンランドの研究(2008年)では、フラボノイドの摂取は、すい臓がんリスクを64%を低下
させています。すごすぎです。フラボノイドはポリフェノールの一種で、野菜やフルーツに多く含まれ
ています。これらはサプリメントに頼らなくても、日ごろから積極的に野菜・フルーツを食べれば、
あらゆる病気を予防する量が摂れます。
フラボノイドは植物の栄養素で、アントシアニン、カテキン(緑茶)、イソフラボン(大豆)、
ケルセチン(玉ねぎ)、テアフラビン(紅茶)、セサミン(ごま)、セサミノール(ごま)などが
有名です。
アントシアニンは、ブルーベリー、ザクロ、ナス(皮)、赤キャベツ、クランベリー、チェリー、
プラムに高濃度で含まれています。ぜひ、フラボノイド食品を意識して摂りましょう。
中でも、膵臓に良い結果をもたらしたというエビデンスのある食材は、ゴボウ、アスパラガス、
トマト、ゴーヤ、スギナ、ショウガなどです。
それと、番外ではありますが、「クルクミン(ターメリック)」、「クミン」などのスパイス、
そして「ナマコ」は、すい臓に対してとても良い働きをします。
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