京都五山の代表として伝統や格式を誇る天龍寺は、さまざまな苦難を乗り越えてきた歴史があるのも大きな特徴です。天龍寺の歴史を知れば、拝観の時間がより有意義に感じられます。
天龍寺は足利尊氏が後醍醐天皇を弔うために創建した寺院です。南北朝の動乱で敵対したものの、尊氏は天皇を尊敬し、崩御の報に接した際も深く悲しみました。
尊氏は天皇ゆかりの亀山殿(後醍醐天皇の祖父・亀山天皇が建てた離宮)の跡地を選び、有名な禅僧だった夢窓疎石(むそうそせき)を初代住職に迎えて建立しました。ちなみに「天龍寺」の名前の由来は、尊氏の弟・直義(ただよし)が、近くの保津川を金色の龍が泳ぐ夢を見たことからつけられたようです。
境内随一の人気スポットである曹源池庭園、嵐山の見える庭園が美しい!
雲龍図で有名な法堂(はっとう)
境内の中心的なお堂の1つです。現在あるものは1864年の禁門の変で焼けた後、別の場所にあった雲居庵禅堂を移築する形で再建されました。
最大の見どころが天井に描かれた「雲龍図」です。1997年に加山又造氏によって描かれました。
直径9mの円にいる巨大な龍が躍動感溢れる姿になっています。周囲には雷雲を思わせる厚い雲が描かれており、今にも龍が出てきそうに見えるでしょう。加えて位置に関係なく、睨まれているように見える「八方睨み」になっているため、移動しても龍がじっと見つめてくるスリルを味わえます。
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