2022年の土用丑の日は、7月23日(土)と8月4日(木)です。
土用丑の日と言えば、やはり「うなぎ」です。夏の土用(7月20日頃〜8月6日頃)は、
二十四節気(二十四節気)の大厚の時期に重なり、とても暑い時です。
この厳しい暑さを乗り切るためにスタミナをつける「食い養生」の風習が生まれました。
本来、土用とは、立春、立夏、立秋、立冬の前のおよそ18日間をさし、雑節の一つです。
ところが今では、土用の丑の日、土用と言えば「夏の土用」を指すようになりました。
丑の日というと、すぐに「うなぎ」を思い浮かべますが、昔は、丑の日の「う」がつく食べ物を
食べていました。例えば、牛肉(うし)、馬肉(うし)、梅干しなどです。胡瓜(きゅうり)、
西瓜(すいか)、南瓜(かぼちゃ)、冬瓜(とうがん)、苦瓜(にがうり)なども土用の丑の日の
食べ物です。夏が旬の瓜類は栄養価が高く、体の熱を取ったり、利尿作用でバランスを整えるなど、
夏の身体に適しています。また、土用シジミがあります。しじみには、冬が旬のしじみと夏が旬の
土用しじみがあります。栄養価が高く、肝臓の働きを助けることから「土用しじみは腹薬」と
呼ばれていました。
うなぎは、日本で縄文時代の遺跡からも食用としたうなぎの骨が出土しています。
また、日本最古の歌集「万葉集」にも「むなぎ」という表記でうなぎが初出しています。
「むなぎ」の名前の由来は、む=身、なぎ=「長い」という説や、家屋の「棟木(むなぎ)」の
ように、丸くて細長いから、という説、胸が黄色いから「胸黄(むなぎ)」という説、
料理の際に胸を開く「むなびらき」という説といくつかあり、院政期頃になって「うなぎ」という
言葉に転じたそうです。うなぎの料理は地域出異なり、俗に関東風、関西風に分かれます。
関東は背側からさく「背開き」で、「蒸し」の皇帝が入るため、背側が両側にくる背開き方が
調理しやすいからです。関東は、頭を落とし半身にして、竹串で焼くのが基本です。
関西は、腹側からさく「腹開き」です。関西風は基本蒸しません。腹開きで蒸してしまうと、
両側の腹側の薄い身が割れて串から外れてしまうからです。
関西は、頭を残し丸ごと金串(かなぐし)に数匹刺して焼き上げます。
関西風はこうして蒸しを入れずに白焼きまでじっくりと焼き上げた後に、蒲焼きに仕上げます。
(地焼きといいます)外はパリッと、中はふっくらです。
他にも名古屋のひつまぶしも有名です。
うなぎは滋養があることで有名ですが、それは栄養価にあります。
(100gあたり)
- 亜鉛 1.4
- セレン 50μg
- モリブデン 5μg
- レチノール 2,400μg
- ビタミンA 8,000IU
- ビタミンD 18μg
- ビタミンE 7.4mg
- ビタミンB1 0.37mg
- B2 0.48mg
- ナイアシン 3mg
- パントテン酸 2.17mg
- ビオチン 6.1μg
EPA/DHAも豊富で最強です。
これで、スタミナもつくというのがよくわかります。特にビタミンA、ビタミンDです。
うなぎの表面はヌルヌルの粘状で覆われていますが、これは外敵からの捕獲を避けるためと、
バイ菌などの侵入を防ぐためです。この粘液の合成をはかるものがビタミンAです。
また、うなぎは、海と川を行き来しますが、この時に浸透圧の調整が必要で、浸透圧をはかるものが、
タウリン、ビタミンDだったりしますが、うなぎは、タウリンよりもビタミンDを溜め込むことにより、
浸透圧の調整をはかるものだと考えられています。
そして、ビタミンB群、他の食材に比べて含有量は10倍近く高いです。
食べ合わせですが、「うなぎと梅干は、食べ合わせがよくない」と聞きますが、科学的根拠は
ないようです。江戸時代前期の貝原益軒「養生訓」に、うなぎと銀杏の組み合わせが
食禁(しょっきん、つまりタブー)であることが書かれています。
また、1838年皇和漁譜(こうわぎょふ)という魚類図鑑で初めてうなぎと梅干の食い合わせに
ついてふれられています。昭和初期では、食い合わせ表があり、うなぎと銀杏、うなぎと酢、
うなぎと梅とありますが、どれも理由が不明で、科学的根拠はありません。
しかし、これらをわざわざ食い合わせる必要もないかと思います。
今年は、うなぎの稚魚が少なかったために、うなぎそのものが少ないようです。
なのでスーパーや外食チェーンは大々的にうなぎイベントをしないようですが、
そろそろ土用丑の日です。スタミナつけましょう♪
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